2話 ページ25
そしてやってきたくちなし村。
錆びれた様子のバス停に地蔵が並ぶ落ち葉で敷き詰められた道。
そしてカアカアと不気味気に鳴く鴉。
あたしとはじめちゃんと美雪は横一列に並びながら愕然とした表情でそれらを見て、手に持っていた旅行鞄を落とした。
思ってたのと違う……。
警部がそんなあたしたちを横目で見て、何も知らないという風に視線を逸らす。
美雪「あ」
不意に後ろを振り返った美雪の声に振り返ると、全身真っ黒の服を着て、顔まで黒い布で隠した黒子が荷物を持って足早にあたしたちの前を通り過ぎて行った。
それを呆然と見送る。
一「何あれ…」
剣持「さあ…」
はじめちゃんと警部の声に同意するようにあたしと美雪は首を傾げた。
くちなし村と書かれた石の横を通って先に進める道を足早にその人は進んで行く。
それを見送っていると、はじめちゃんが口を開いた。
一「お地蔵さん、首がないな……」
はじめちゃんの声に確認するように道に沿って並び立つ地蔵に視線を向けると、本当に首が無かった。
しかも全部だ。
剣持「くちなし村。もともとは首無し村って名前だったのが訛ってくちなし村。巽じゅんのすけに首を刎ねられた柊兼春の無念が…」
説明をしようとする警部を遮って美雪は「ねえ!!」と声を上げた。
そして両手を頭に当てながら絶望したようにあたしとはじめちゃんを見る。
美雪「なんかわたしたち騙されてない…!?」
一「温泉グルメはどこ!?わたしは誰!?」
『もうヤダ、帰りたい…!』
両手を組んで神に祈るように目を瞑るはじめちゃんに顔を伏せて絶望したように頭を抱えるあたし。
それを見て警部が片手を横に振りながら「私は初めから温泉グルメとは…」と言おうとした時。
「剣持様でございますね」
急に聞こえてきた声に顔を向けると、はじめちゃんと美雪が急いであたしの後ろに隠れた。
ちょ、なんであたしの後ろに隠れるの!?
そんな様子を一瞥して警部が「はあ…」と軽く頷く。
猿彦「巽家の使いの者で、猿彦と申します」
礼儀正しく一礼する。
猿彦「お迎えにあがりました」
猿彦さんの言葉にはじめちゃんと美雪が恐々とした様子であたしの後ろから顔を出す。
警部はそれを見てから「これはどうも…」と軽く礼をした。
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セレーナ - この作品も面白いわ^ ^名探偵コナンと暁のヨナの作品を早く更新して欲しいわ。頑張って (2020年2月8日 1時) (レス) id: a3d3399358 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - あああ、もうはじめちゃんは、彼女ちゃんがいるのに、お姉さんナンパかあ、次回は楽しみにしてます (2019年12月21日 13時) (レス) id: 5c9701a404 (このIDを非表示/違反報告)
にー - 突然すみません!ここのお話とは関係ないのですが名探偵コナンはいつ頃更新されますか?教えてください (2019年12月7日 9時) (レス) id: 2e8392d2ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年11月29日 19時