25話 ページ22
警部の腕からは血が流れ出ていた。
小野「警察なんかに寄ってる暇ないのよッ。天国で深町君が待ってるのよっ!!」
『深町が泣いてるよ!!!』
自身の首を刺そうとした先生の手があたしの言葉で止まった。
みんなが此方に視線を向けるのを確認して、あたしは回収箱の前に行くと、その前に置いてある布を取り払った。
下から出てきたのは、あの「子守唄」の女の絵だった。
『先生……このイヤリングに見覚えはない?』
先生はそっと耳につけているイヤリングに手を添えた。
それを横目にあたしは近づいてきたはじめちゃんから削りを受けとると、そっと女の人の顔を削っていく。
みんなが見守る中、出て来たのは安らかに笑う先生の顔だった。
小野「私……?」
『…深町は先生をモデルにしてこの絵を描いてたんだ。でも、誰かに見られたらヤバイと思って油絵の上に水彩絵の具を塗って別の絵にしてたんだ。いつか…必ず絵の具が剥せる日が来るのを信じてさ』
先生の目に涙が徐々に溜まっていく。
あたしはそれを見ながら先生をじっと見つめた。
『深町は確かにむごい殺された方をしたよ。……けど先生に復讐をして欲しいなんてこれっぽっちも思ってなかったはずよ。…だってそうでしょ?復讐に目をギラつかせた先生なんて誰が見たいのよ。あたしだってそうよ。……深町が愛したのは、この絵みたいな心安らかで優しい先生…あなただったんだ。これが先生の本当の姿じゃないの?』
小野「う…っ……うぅ……」
先生は小型ナイフを落とすと、床に蹲って泣き崩れた。
警部があたしへと視線を向けて頷きかけると、あたしもそれに頷き返してじっと先生を見つめた。
はじめちゃんがゆっくりと後ろからあたしを抱きしめてくれて、あたしも前に回された彼の腕を縋りつくように握りしめた。
一「A……」
『だいじょうぶ……』
はじめちゃんの声にあたしはコクリと頷いた。
先生の嗚咽が教室に響いてみんなが複雑な表情で先生を見つめる。
これで、この事件は解決を迎えた───
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セレーナ - この作品も面白いわ^ ^名探偵コナンと暁のヨナの作品を早く更新して欲しいわ。頑張って (2020年2月8日 1時) (レス) id: a3d3399358 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - あああ、もうはじめちゃんは、彼女ちゃんがいるのに、お姉さんナンパかあ、次回は楽しみにしてます (2019年12月21日 13時) (レス) id: 5c9701a404 (このIDを非表示/違反報告)
にー - 突然すみません!ここのお話とは関係ないのですが名探偵コナンはいつ頃更新されますか?教えてください (2019年12月7日 9時) (レス) id: 2e8392d2ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年11月29日 19時