-５- ページ20
確かに暗い視界の中で、洞窟があるのが見えた。
私はぎゅっと出雲と尊の腕を抱きしめる。
出雲「大丈夫か？A」
『な、なんとか』
顔を覗き込んでくる出雲に何とか笑顔を作りながら返すと、「笑えてないで」と言われた。
笑えるわけないじゃんかー!と心中で叫ぶと、尊が頭を撫でてくれた。
多々良「あ、カニだ」
華奈「食べられるかな？」
出雲「可哀相やん。放っとき」
しゃがみ込んでカニをじっと見る多々良と華奈とアンナに出雲は声をかけた。
その時、ドスッと音がして振り返ると、八田ちゃんが一発鎌本の横腹に拳を叩き込んでいる所だった。
なんだろう？と首を傾げる。
鎌本「グフッ。ちょっ…なんすか八田さん!」
八田「いいい今の…」
震える手で洞窟を指差す八田ちゃんに鎌本は横腹を抑えながら口を開いた。
鎌本「……？なんもないっすけど…」
華奈「もしかして八田ちゃん。なんか見えちゃったの？」
話を聞いていたらしい華奈の言葉に、八田ちゃんの顔が一気に青褪めた。
オオオォォ…と風の音が洞窟に反響する。
先の見えない暗闇に私は隣にいる尊と出雲の腕に抱き着く力を強めた。
前にいる八田ちゃんも洞窟を見る多々良とアンナの手を握って「いや…気のせいだ。気のせいだ、気のせい。気のせい」とブツブツと呟いている。
鎌本は感心したように洞窟を見ながら言った。
鎌本「お〜〜…さすがに雰囲気あるっすねー」
華奈「ねー」
楽しそうな鎌本と華奈に私はじわじわと涙を浮かべた。
もうやだ…帰りたい。
『尊、出雲。絶対に離れないでよ、絶対だよ!?わかった!?』
尊「…ああ」
出雲「わかっとるって」
必死にそう言う私に尊と出雲も笑みを浮かべながら私の頭を撫でる。
なんか、今回撫でられる確率多くない？
華奈「いつもは大人びてるけど、ああいう怖がる所可愛いよねぇ」
多々良「そうだねー」
ニコニコと会話をする華奈と多々良の言葉なんて聞こえません。
八田「あ、あんたら弱えんだからオレから離れんなよ!?は、離れんなよ!!?」
アンナ「ミサキ、手ぬるぬる…」
華奈「八田ちゃん、怖いんだ…」
両隣にいる多々良とアンナを見ながらそう言う八田ちゃんに、多々良はあはは…と苦笑し、アンナはちょっと引いて、華奈はボソリと言った。
八田ちゃんはそんなの気にすることなく、ズガンと鎌本の背中を蹴る。
八田「オラッ、先入れ鎌本!!」
鎌本「えーーっ」
八つ当たりされる鎌本が可哀相だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シルフィ(プロフ) - かなとさん» ちょっと言い過ぎなんじゃないですか？誰だって見落としたりすることはあるんですから違反報告なんてやりすぎです。あなたのその言葉で不快になってる人もいることわかってください。文句しか言わないなら見なければいいじゃないですか (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 6da2673d24 (このIDを非表示/違反報告)
シルフィ(プロフ) - この作品大好きです！！これからも更新頑張ってください！応援してます！さきっちさんの作品全部大好きです！ (2019年8月23日 1時) (レス) id: 6da2673d24 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - かなとさん» すいません、此方も色々と忙しい身で更新をしているので見落としてしまう部分もあります。そのつど報告をしてくれるのは大変嬉しいのですが…言葉遣いに気をつけてくださると嬉しいですね。見落としてしまったのはこちらの落ち度なので申し訳ありません (2019年8月23日 1時) (レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - ルールを守る気も、でしたね。すみません。でもいい加減にして下さい (2019年8月23日 0時) (レス) id: b1d25bd6f7 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - ルールを作る気がないようなんで違反報告します。連続だと仕方ないですよね (2019年8月23日 0時) (レス) id: b1d25bd6f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さきっち
| 作成日時：2019年8月23日 0時
