14話 ページ22
それから美雪と空を残してあたしたちは全員で悲恋湖へと行き、一つの白いボートを見つけた。
だがそのボートは全員で乗るにはあまりにも小さい。
『ひとり用ね…』
いつき「一人でボートに乗っていくなんて何があるかわかりゃあしねぇ。俺はお断りだ」
『あたしが行く』
一「ダメだ」
腕を組んでそう言うとはじめちゃんにそう言われた。
後ろにいるはじめちゃんを振り返る。
『なんで?』
一「そんな危険な真似、Aにさせられない。俺がいく」
遠野「いや…僕がいく」
あたしとはじめちゃんは先輩を振り返った。
先輩はロッジの方を振り返りながら口を開く。
遠野「僕が助けをもとめに行きます。七瀬君と武内君の怪我は僕のせいだし。それに、観月ツーリストの親会社でこのリゾート村を作った開発会社の社長は僕の父なんだ」
いつき「なんだって?」
遠野「モニターの正直な反応を見るために父の言いつけで客として潜り込んだんです」
腰に片手を当てて先輩を見ると九条さんが声を上げた。
九条「あなたが社長の…?」
遠野「僕は卑怯だった。責任を追及されるのが怖くてずっと黙っていたんです」
あたしとはじめちゃんは黙って彼を見つめた。
聖子「ともかくこれで決まりね。遠野君に行ってもらいましょうよ」
いつき「おい…まさかこのままトンヅラこくんじゃねぇだろうな?」
一「やっぱりひとりじゃ危険だ、俺も行きます」
はじめちゃんがそう言うとすぐに先輩が「いや」と否定した。
遠野「僕ひとりでいい。君と鈴蘭君は2人の傍に居てやってくれ。……金田一君、鈴蘭君、後は頼むよ」
あたしたちは目を合わせるとどことなく先輩に気まずさが出て、顔を伏せた。
それから先輩はボートに乗り、ひとりで海に出た。
中間までボートをこぐ先輩の姿を一列に並んで見つめる。
一「今日はみんな一緒の部屋に寝ましょう、その方が安全だ」
いつき「俺は遠慮するぜ」
一「けど、一緒にいるといつジェイソンに襲われるか…」
聖子「一緒にいるともっと危なかったりしてね」
一「それはどういうことですか?」
はじめちゃんの言葉に答える気はないと言う風に踵を返す聖子さん。
いつき「……敵は外ばかりじゃないってことさ。ボウヤ」
いつきさんもすぐにロッジへと引き返す。
小林さんも無言で引き返した。
九条さんが慌てたように皆を追いかけていく。
あたしはすぐにロッジへと引き返す3人の背中をじっと見つめた。
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紗菜 - こんばんは、私も金田一シリーズ初代が一番好きで見てました。初代の夢小説って他には見かけないので一気に読み上げました。続き楽しみにしてます、更新がんばって下さい。 (2019年9月22日 0時) (レス) id: 83af26d21e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年8月6日 1時