8話 ページ16
ロッジへと着いたその夜。
あたしたちは「乾杯!」という九条さんに対して渡されたジュースの入ったコップをカンッと合わせる。
だが、ノリの悪い大人たちはさっさと自分の好きなように行動していた。
香山夫妻はさっそく料理を取りにいき、甲田さんは窓際のソファに座り、その近くの椅子に煙草を吸いながらビール片手に座るいつきさん、そしてソファに座って絵を描く小林さん。
あたしはそれらを横目に見ながらジュースを飲んでいた。
美雪と空とはじめちゃんは料理を取りにいっている。
遠野「鈴蘭君」
『すいません、先輩。ありがとうございます!』
デザートの乗ったお皿を持った先輩が此方に来て片方を渡してくれた。
お礼を言って受け取るあたしに先輩が学校の人の話をしだして。
あたしがそれに頷きながら話している後ろでは、あたしに料理を持ってきてくれたらしいはじめちゃんが先輩に先を越されたのを見かねて、拗ねてソファで一人で食べていた。
それを見ていた美雪と空が苦笑している。
美雪「はじめちゃんすねないの」
一「すねてねぇ」
空「すねてるじゃない」
3人の会話にあたしが振り返って首を傾げると、一人離れた場所のソファに座る小林さんにビールを持ちながら九条さんが話しかけていた。
九条「小林さん、何を描いてらっしゃるんですか?」
小林「ま、まだ途中だ」
そう言ってスケッチブックを見せないようにする小林さん。
そんな彼を振り返ったいつきさんが立ち上がって彼に近寄った。
九条「小林さん、画家なんですか?」
小林「まぁ…」
曖昧な返事をする小林さんの隣にいつきさんが腰掛ける。
いつき「あんた、小林画伯じゃん。あぁそうだ!俺、あのフリーライターのいつき陽介です。あんたに会えるなんて光栄ですよ」
嬉しそうにしながら名刺を渡すいつきさん。
そんな彼らの背後から甲田さんが声をかける。
甲田「あのぉ…画家の方ですか?よかったら、見せていただけませんかね?」
いつき「いや、食事中はやめた方がいいと思うよ。ねぇ、小林さん」
【番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします】
急に聞こえてきた声にあたしたちは視線を向けた。
【本日未明、長野県佐伯市の刑務所から死刑囚が脱獄しました】
はじめちゃんと美雪と空の近くにあるラジオから流れる放送。
それにいつきさんは「このすぐ近くだぞ」といった。
あたしはいつきさんの言葉にジュースを飲みながらラジオに視線を向ける。
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紗菜 - こんばんは、私も金田一シリーズ初代が一番好きで見てました。初代の夢小説って他には見かけないので一気に読み上げました。続き楽しみにしてます、更新がんばって下さい。 (2019年9月22日 0時) (レス) id: 83af26d21e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年8月6日 1時