17話 ページ25
翌朝。
美雪と空の眠るロッジで目が覚めた。
はじめちゃんは床で寝ると言ってソファを譲ってくれたので結構ゆっくり眠れたのだ。
昨日は空のおかげでよく眠れなかったからなぁ。
けどソファで寝ると体がバキバキするってのがわかる。
服を着替えて髪の毛をポニーテールにまとめる。
そしてあたしが背筋を伸ばしていると、外から「おーい!みなさーん!」と声が聞こえた。
九条さんの声だ。
九条「ボートが帰ってきました!遠野さんが帰ってきたんです!」
あたしとはじめちゃんはロッジの外に出てみんなと合流すると悲恋湖へと向かった。
だが、沖についたボートの中には、
一「遠野さん…」
顔面を切り刻まれて死んでいる死体があって。
聖子さんが口許を押さえながら顔を逸らした。
いつき「まただ……。顔がめちゃくちゃになってる…」
───『なんでこんな事になったんだよ!!!あんた一緒にいたんでしょ!!?』
───遠野「鈴蘭君…」
『あたしのせいだ…』
一「A…」
『あたしが責めたから…っ』
先輩……っ
『うわあああっ!!』
ボートに手をついて泣き崩れるあたしの姿をみんなが重い面持ちで見つめる。
はじめちゃんが優しくそっとあたしを後ろから抱きしめてくれた。
それからロッジに戻り、あたしは窓の外を見ながら項垂れていた。
そんなあたしの隣にいたはじめちゃんがずっと寄り添って手を繋いでくれてて。
どこか遠くを見ながら外を見つめるあたしの肩に甲田さんが慰めるようにポンと手を置いてくれた。
『あの時…何がなんでも先輩について行ってたら…っ』
甲田「そんなに…自分を責めるもんじゃありませんよ」
一「そうだよ、A。遠野さんの死は、お前の責任じゃないだろ?」
『だけど…っ』
優しい言葉をかけてくれる2人には悪いけど、この気持ちはどうすることも…。
甲田さんはあたしの肩をポンポンと叩くと美雪と空の元へ向かった。
甲田「人間とは無力な物ですねぇ。こうして、苦しんでいる患者さんがいても医療設備がないと何ひとつしてやることができない」
あたしは窓の外から甲田さんに視線を向けた。
甲田さんは美雪と空の額に水で絞ったタオルを乗せる。
甲田「私の夢はね……無医村に一つでも多くの病院を作ることなんですよ」
一「無医村?お医者さんがいない村のことですか?」
甲田「せめてもの、罪滅ぼしにね」
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紗菜 - こんばんは、私も金田一シリーズ初代が一番好きで見てました。初代の夢小説って他には見かけないので一気に読み上げました。続き楽しみにしてます、更新がんばって下さい。 (2019年9月22日 0時) (レス) id: 83af26d21e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年8月6日 1時