20話 ページ3
『引き上げたんですよ。ベッドを』
そう言うとベッドに寄りかかっていた刑事さんが笑いだして「このベッドが何キロあると思ってるんだ」といった。
あたしたちは話しながらベッドがある場所へと移動していたのだ。
刑事さんにそう言われたはじめちゃんは頭上にある天窓を指差した。
一「あそこからロープを通してこのベッドに括り付け、そしてミンチのような物を使って引っ張れば持ち上がります」
フックを通したロープを天井の柱に引っ掛けて錘代わりにして2つのフックをベッドの両脇に引っ掛ける。
ベッドに括り付けられたフックを通したロープはミンチで引っ張られ天窓近くまで持ちあがる。
『こうやって天窓ギリギリまで引き上げ、霧子を絞め殺した後首を切断した。そうして切断した霧子の首だけを持ち出したんだ』
剣持「どうやってそのトリックに気付いたのかね?」
はじめちゃんはポケットから黒い羽を取り出した。
「これです」と見せるソレはベッドのそばに落ちていた霧子さんの羽で。
一「この羽がベッドの脚の下に挟まっていたんですよ」
剣持「ベッドを持ち上げなければ挟まるわけがないな」
一「はい」
すると警部の横で座っていた刑事さんが立ち上がった。
向井「しかし、あの死体は確かに時田若葉のものだったぞ」
『あれは…巧妙な死体すり替えトリックですよ』
向井「死体すり替えトリック?」
あたしは頷いた。
『若葉は霧子を殺したすぐ後、真犯人によって殺されたんです』
一「真犯人は俺たちが霧子を探している間、どこかで若葉と落ち合い、そして隙を見て殺し、その死体を…教会に運び込んだ。そして、若葉の首を切断し、ドレスを着せ霧子の死体と入れ替えた。これで警察がやってきて鑑定しても死体は若葉のものと判定される」
あたしたちは風祭さんの家へと戻った。
高価そうな絨毯が敷かれている部屋へと入る。
『霧子の死体がミイラと違う部分を切り取られていたのも、間違えたわけではなかったんだよ』
剣持「首と胴体を切り離す必要があったのか…」
一「そうだろ、小田切先生」
『いや、神崎さん』
あたしとはじめちゃんが先生を振り返ると、みんなが彼を振り返った。
先生の顔が驚愕に染まる。
先生「何言ってるんだよ、鈴蘭さんっ」
剣持「本庁に行って調べてもらったよ。お前の本名は神崎竜一。27年前に生き延びた少女、神崎詩織の息子だ」
あの時あたしたちが警部に頼んだのはこのことだったのだ。
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紗菜 - こんばんは、私も金田一シリーズ初代が一番好きで見てました。初代の夢小説って他には見かけないので一気に読み上げました。続き楽しみにしてます、更新がんばって下さい。 (2019年9月22日 0時) (レス) id: 83af26d21e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年8月6日 1時