ひとりじゃない証 【金田一少年の事件簿】初代実写版

29話 ページ30

真壁君と金田一君が上体を起こす。



一「尾之上はみんなにポスターのことを伝えたかったんです」



「あのポスターです!」と指差した先には真壁君のポスター。
皆がそれを振り返ると、あたしは『浅野先生』と先生を見上げた。



『あなたは10年前に七不思議のひとつ、呪われた音楽室を作りましたね』



言いながら金田一君と一緒にポスターの元へと歩み寄る。



一「理由は的場先生たちと一緒です。奇怪な噂を流すことによって人が近づかないようにしたんです」


『あなたが10年間…隠し続けてきたものはこれだ!』



金田一君がポスターを引き剥がす。
すると、その後ろには壁に亀裂が入り、中から何かが見えていた。
みんながあたしたちの周りに集まってそれを見ようと近づく。
警部が「向井」と刑事さんを呼ぶと刑事さんは返事をして壁を崩し始めた。
ボロボロの壁はすぐに剥がれ落ちる。
そして中から現れたのは人骨だった。
皆が驚きに目を見張る。
あたしも金田一君に聞いていただけで見たのではなかったので、思わず金田一君の服を掴んでしまった。
金田一君は優しくあたしの手を握ってくれて、そして勢いよく後ろにいる先生を振り返った。



一「10年前に行方不明になった……あなたのクラスメートの青山ちひろさんだ!!」



浅野先生がぽつりと「ちひろ…」と呟く。



一「あなたは10年前、青山ちひろさんを殺しましたね。そしてその死体を音楽室の壁に塗り込めた。さらに的場先生が作った六不思議に加え七つ目の不思議を作り、七不思議を完成させた。それから10年後校舎取り壊しの話が持ち上がり、あなたは壁に埋めた死体が発見されるのを恐れた」


警部「じゃあ…脅迫状を送ったり、放課後の魔術師の格好をして学校を騒がせていたのも…」


一「いいえ、それは的場先生でしょう。そしておそらく、Aと美雪を襲ったのも的場先生でしょう。一体何故、的場先生がそんなことをしたのか。それは浅野先生……あなたを守る為だったんだ!」



みんなの間をすり抜けて金田一君が前に出る。
手を繋いでいるあたしも必然的に前に出る事になった。
ここからはあたしは金田一君には教えられていない為、判らない。



一「あの事件の夜、あなたが桜樹先輩を殺すのを的場先生は目撃した。そして的場先生は全てを知った。あなたが10年前、青山ちひろさんを殺してしまったこと。的場先生は尾之上を殺したのもすぐにあなただとわかった」

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