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マズイと直感でAが感じたその時。
尊「…次はテメェだ」
尊は指をバキバキと鳴らしながら多々良に襲い掛かった。
多々良「キングーーー!!」
華奈「アレ…缶けりってこういう遊びだっけ!?」
『絶対にちがーう!!』
話し終えた出雲は冷や汗を流しながら世理の方を見れないでいた。
彼女はもはや呆れかえった顔をしている。
言葉も出ないようだ。
世理「……………………」
出雲「いや話にするとアホみたいやけど一応尊は当時からかなり恐れられてたんやで?俺も多方面から一目置かれてたりしてな?Aや華奈だって無邪気で可愛い小学生やったしな?十束が入ってからこんななっただけで」
世理「フーーン」
ベラベラと焦った様子で喋る出雲に世理は嘘つけという感じで目を細めた。
まあ今までの話を聞いたらそんな風には聞こえないだろうが。
気持ちはわからなくもない。
出雲「でもまぁ…楽しかったっちゃあ楽しかったかな」
仏頂面の尊とそれに臆することなく笑いかけるAとそれを見ながら笑顔を浮かべる出雲と華奈と多々良。
学年や年齢は違うが、良い思い出はたくさん出来た。
世理「……友達をなくすのは辛いものね」
出雲「いやなくしてへんわ!不吉なこと言わんといてよ」
世理「けど、王になってしまったらただの友達ではいられないでしょう?」
出雲が世理を横目で見ると、彼女は棚の上にある写真立てに視線を向けていた。
そこには笑顔のAと華奈と多々良と出雲と、仏頂面だが微かに笑っている尊の写真があった。
華奈とAの高校入学記念にAが尊にお願いをして5人で撮ったものだ。
あの時は…そうだ、Aのお願いを渋々受け入れた尊を多々良と華奈と冷やかすと燃やされそうになったのだ。
出雲は写真を撮った時の事を思い出すと、クスと笑みを浮かべた。
出雲「…いや?なんも変わらへんで?それぞれ背負うもんは増えたけど、根本は何も変わってへん」
世理「でも…少し安心したわ。…王も人間なのね」
出雲「そらそうや。ま、あんたんとこの室長にフツーの青春があったかは知らんけどな」
出雲がそう言うと世理はクスと笑った。
視線を下げた出雲の脳裏に過るのは、夢で見た肌が焼けていく尊と悲しい笑顔を浮かべるAと華奈の事で。
どうもあの夢が頭から離れてくれない。
華奈「『ごめんね』」
出雲「いつのまにか、こんなとこまで来てしもたなあ」
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かなと - 違反だということを少しは意識して下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 8時