吠舞羅のお姫様 (ページ43)

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多々良の頭を押さえつけてしゃがみ込む出雲。
だが、尊はしゃがまず、ジュースを飲みながら立っていて、振り返った先生とバッチリと目が合ってしまった。
出雲と多々良が顔を青褪めさせると同時に先生の顔もサー…と青褪めていく。

先生「すっ周防くん？」

尊「おう」

多々良「「おう」じゃないよ。キングーー!!!」

話し終えた世理の顔は唖然としていた。
出雲はそれを横目に、太腿に肘をついて頬杖をつく。

出雲「クラブで中々来んかったAと華奈を迎えに行った時も…」

あの時は…確かテニスクラブがやっている場所にいっても華奈の姿はなく。
しかもクラブが終わった時間だったため、帰ったのかとも思ったが、体育館の方からボールが弾む音が聞こえて其方に足を運んだのだ。

多々良「最近、Aと華奈見ないもんねー」

出雲「あいつらえんと、なんか調子狂うなぁ」

多々良「キングもそうなの？」

多々良の問いかけに尊は相変わらずパックのジュースを飲みながらスタスタと体育館に向かって歩き出した。
その後を追う出雲と多々良が顔を見合わせる。

多々良「みたいだね」

出雲「せやな」

3人が体育館に入ると、Aと華奈が1on1をしている所だった。
ディフェンスの華奈を軽々と交わし、Aは綺麗にシュートをゴールに入れた。
フォームも綺麗だしディフェンスを交わす時も小学生とは思えない軽やかなAの動きに3人が「おお」と感嘆の声を上げていると、Aと華奈がバタンと床に大の字になって倒れた。

華奈「あー!疲れたー!テニスした後はキツイってばー!」

『華奈、最初の方見てただけじゃん』

大の字ではぁはぁ…と息を切らす華奈を横目に見てAは体を起こすと、片膝を立ててその上に腕を乗せると『あっつ…』と言いながら部活動着の袖で汗を拭う。
そして立ち上がると、上着の裾を持ってパタパタと内側に風が来るように扇いだ。
上着の下は何も着ていないようで、お腹がチラチラと見える。

華奈「やらしー」

『どこが？』

タオルを取りに歩き出したその時、壁際に尊と出雲と多々良が寄りかかって立っているのに気付いた。
きょとんとしていると、3人が近づいてくる。

多々良「最近2人の顔見ないから来ちゃった」

出雲「Aのフォーム、綺麗やなぁ」

尊「ん」

思い思いにかけてくる言葉に呆然としていると尊がタオルを差し出した。
それはAのスポーツバッグの中に入っていたタオルで。
Aはお礼を言いながら受け取る。