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そして多々良の提案する場所へと来たA達。
目の前はゴオオオと波の音が聞こえる崖だった。
多々良「ここから自転車で下りてって先にブレーキをかけた方が負け」
出雲「チキンレースね…。十束、おまえええ度胸やん」
多々良はにへーとした笑みを浮かべた。
出雲「2人は危ないからここで待っとき」
華奈「『はーい』」
多々良「A、かけ声よろしくね?」
『任せてー』
Aは華奈と一緒に自転車を3人より少し離れた場所に停めると、カゴに入れたスポーツバッグをそのままに3人の横へと移動した。
強い風がAが着ているバスケの部活動着を揺らす。
Aは風に揺れる髪を抑えると、準備はいい?と声をかけた。
準備万端の3人が頷く。
『レディ……GO!!』
多々良と出雲が飛び出す。
シャーと斜面を下りてく2人を華奈とAは崖から覗き見た。
先にブレーキをかけたのは出雲で、「早!!」と声をあげた多々良に「安全第一やで」と言っている声が聞こえる。
多々良はそのまま止まることなく目の前の岩に激突した。
華奈「『いたそ〜』」
その時、華奈とAの横をビュッと風が通り抜けた。
何かと視線を向けると、それは尊で。
自転車でそのまま飛び上がる尊にAと華奈と、崖の下にいた出雲と多々良は思わず唖然とした。
華奈「『え〜〜〜〜!?』」
多々良「キングーー!!チキンレースの意味分かってる!?」
その内容を話し終えた出雲の目の前には唖然としている世理の顔があった。
世理「………バカなの?」
出雲「いや、だから言うたやん。ただのアホやって」
世理「そんなバカばっかりしてたわけ?」
出雲「まー他にもアホなことは色々したな。十束、あの頃大分頭緩かったしな…。高校ん頃、仲良うしてたセンセにも迷惑かけたし…」
思い出されるのはあの頃。
学校でダラダラしてた尊と出雲の元に、息を切らせながら多々良がやって来た。
多々良「キング、草薙さん、大変だよ!こっち、こっち来て」
出雲「はあ?なんやねん急に…」
出雲の腕をグイグイと引っ張る多々良。
ダルそうにしながら後をついていく出雲とジュースを飲みながらついていく尊。
3人が向かったのは更衣室で。
多々良「丸見えだよ!」
出雲「おお」
先生が着替えている姿を指差した多々良に出雲はキラキラと目を輝かせた。
出雲「でかした十束。おまえ、たまには役に立つやん」
多々良「でしょー」
出雲「あっこっち向く…」
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かなと - 違反だということを少しは意識して下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 8時