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『好きだよ、尊。大好き』
尊「…ああ、俺もだ」
尊の返事にニイッと笑って彼の唇にそれを重ねた。
尊の首に腕を回して啄むようなキスを繰り返す。
すると、尊の手がパーカーの中に入ってきてシャツを着ていなかった私の素肌に触れた。
ピクリと体が震える。
『んっ…ダメだよ、アンナ起きちゃう』
尊「声出すなよ」
『無理だってばぁ』
素肌を撫でながらどんどん上に上がってくる尊の手に目を瞑って耐える。
薄っすらと目を開けて見た尊の目は獣が獲物を狙う時のそれに似ていて、私は思わず顔を真っ赤にして尊の肩に顔を押し当てた。
やだなぁ…好きが積もるばかりだよ。
その時、ガチャッと控えめにドアが開いて、華奈の声が聞こえた。
華奈「A。出雲が下りて来いってー。温かい飲み物だすからだってさ」
尊「『………』」
あぁ、尊の機嫌が一気に下がった。
私は華奈に『わかった』と伝えると、尊の膝から下りて服を正す。
尊が大きな溜息を吐いたのを確認して私は彼の肩に手を置いてチュッと軽く額にキスを落とした。
『また…あとでね』
それだけ言って私は急いで部屋から出て華奈と一緒に階段を下りた。
ニヤニヤとこっちを見て来る華奈の顔面にタオルを投げつけてから足蹴りしつつ、真っ赤に染まる顔を隠すように両手で覆った。
なんか、恥ずかしい事言ったかも…。
アンナ「……ミコト?どうしたの?」
尊「…なんでもねぇ」
私と華奈が一階に下りた後、起きたアンナが顔を覆っている尊を不思議そうに見ていた。
尊の頭の中にはさっきの私の真っ赤な顔が浮かんでいて、再び沸き上がる情欲を隠すように彼はアンナの頭を撫でた。
多々良「4月1日16時30分」
一階に下りた後、出雲に温かい紅茶を淹れてもらってカウンターで華奈と出雲と多々良と話ながら飲んでいるとお店のドアが開いた。
出雲「…なんやそのけったいな荷物は」
藤島「…拾いました」
入ってきた藤島におんぶされていたのはフードを被った男の子で。
多々良「藤島、ときどき犬猫拾ってくるけど人間は初めてだねー」
出雲「…あかん。元の場所に返してきなさい」
藤島「でも雨だし」
出雲「じゃあ自分ちに持って帰りなさい」
藤島「うち実家だし」
多々良「まーーいーじゃん草薙さん」
華奈「多分、何言っても無駄だと思うよ」
『私もそう思う』
私達がそう言うと出雲は額を押さえてはあ…とため息を吐いた。
とりあえず、その男の子をソファに寝かせて様子を見る。
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かなと - 違反だということを少しは意識して下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 8時