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私達はその後、バーへと帰ってきた。
その数分後、華奈と多々良も帰ってきて2人の首にはくっきりと爪痕が残っており、とりあえず手当に絆創膏を貼っといた。
そして多々良と華奈から指きりマリアの話を聞く。
指切りマリアは愛していた恋人に何も告げられず別れて、今でも忘れられないらしい。
そしてその話を聞いた千歳と約束をしたそうだ。
今度は抱きしめて“さよなら”と言ってと。
翔平「切ない話っすねー」
カウンターに座りながらそう言う翔平に帰ってくる途中で尊に買ってもらったパックのカフェ・オレを飲みながらコクンと頷く。
私も尊に何も言われず別れられたら絶対忘れられないだろうなあ。
同じ女だから共感できる。
出雲「ちゅーか十束、華奈。それ指きりマリア本人から直接聞いたんか」
多々良「落ち着いて話せば気さくな人だったよ」
出雲「はー…ま…それがおまえらの特技なんやな」
藤島「千歳に教えてあげなかったんですか?」
華奈「自分で思い出さなきゃ意味ないでしょ」
『あはっ、殺されてないといいけどね』
笑いながら言う華奈に私も笑うと、ギイイとドアが開いて疲れたような顔をした出羽と千歳が入ってきた。
千歳に限ってはフラフラである。
『あ、生きてた』
千歳「ど…どうもご迷惑をおかけしました」
出雲「まったくや」
鎌本や華奈が2人に声をかけにいくのを見送ってジュースを飲んでいると、千歳たちの様子を見ていた翔平がカウンターに肘をつきながら口を開いた。
翔平「力があるから離れていく…かあ…。俺らとは逆っすね」
多々良「『ん?』」
翔平「ストレインとは同じような力なのに、俺らは力が絆になってるじゃないすか」
多々良「そうだねえ…」
目を伏せる多々良を横目で見ながら私もジュースを飲みながら目を伏せた。
頭に思い浮かぶのは、今頃2階でソファに腰掛けながら欠伸を溢しているであろう尊のことで。
力があるから離れていく…か。
2階にある窓から夜空に浮かぶ月を見上げる。
力がある故の孤独。
私の中に眠るもう一つの能力。
みんなとは違う、私だけが使える
この能力は一体―――。
華奈,多々良「お姫様♪」
後ろから声をかけられて振り返ると、多々良と華奈と尊がいた。
なんでこの人たちは、いつも私が悩んでるときに現れるかなあ…。
『なあに?』
多々良,華奈「……なんでもない」
尊が私の頭を撫でてくれて、多々良と華奈も私に微笑みかける。
あぁ、あったかいなぁ。
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かなと - 違反だということを少しは意識して下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 8時