第4話 「Memory(前編)」 ページ17
-Aside-
華奈「あーん、もう最悪!雨降るなんて聞いてないぃぃ!」
『後片づけなんてやってないでさっさと帰ればよかった…!』
助っ人で呼ばれた部活が終わり、制服に着替えて学校を出た時。
空からは雨がザアアア…と降っていて、学校から出た瞬間私たちを絶望に突き落とした。
雨が降るなんて聞いてなかったから傘なんて持ってきてない。
タンマツで誰かに連絡を取ろうと思ったけど、出雲が今日はお店を掃除するって言ってたから忙しいだろうし、皆も今日は雨だから集まり悪そうだしやめた。
尊に連絡しようと思ったけど寝てたら申し訳ないし、そんなにひどくもなかったから全速力で帰る事にしたのだ。
……が、走ってる途中で物凄く降ってきて私達は軒先を通りながら急いでバーへと向かった。
もう、頭からつま先まで全身すぶ濡れである。
鞄の中にパーカー入ってたかなあ。
華奈「出雲ー!タオルちょうだーい」
『もう、ほんっと最悪』
出雲「2人ともずぶ濡れやんけ!」
バーのドアを開けて入ると、八田ちゃんと多々良と出雲がいて、出雲は急いで私達にタオルをくれた。
多々良が私達のずぶ濡れの様子をカメラで撮る。
多々良「走って帰って来たの?2人とも」
『途中までは良かったんだけど、急に勢いよく降ってきちゃってさ』
八田「ちょ、Aさん!華奈さん!」
濡れた髪の毛をタオルで拭きながら多々良と喋っていると顔を真っ赤にした八田ちゃんに声をかけられた。
華奈と2人で振り返ると、八田ちゃんは私達から顔をそらした。
華奈「なに?八田ちゃん」
八田「いや…その…」
出雲「はよお風呂入ってき、2人とも」
『え?』
多々良「透けてるよ」
多々良の言葉に私達はお互いの顔を見合わせて、視線を下に下げた。
吸水性の良いグレーのスカートはもう乾いていたが、上のブラウスが透けて下着が見えていた。
あ、だから八田ちゃん顔を真っ赤にしてたのか。
と遅れた思考で理解した後私達はスポーツバックの中に入っているパーカーを取り出して急いで2階に駆け上がってお風呂場に突入した。
は……恥ずかしい〜〜。
出雲「まったく、うちのお姫様たちは…」
多々良「あはは。ここにキングがいたら絶対俺たち殺されてたよね」
出雲「せやなぁ。あいつ、結構Aにベタ惚れやからな。ほら、八田ちゃん。いつまで顔赤くしとんねん」
八田「いや、だって…!」
私達が顔を真っ赤にしてお風呂場に駆け込んだ後、1階でそんな会話がされていたのは全然知らない。
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かなと - 違反だということを少しは意識して下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 8時