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出雲「なんか不満があるんやったら言いや」
さん「…す、すんませんっ」
カウンターに横になりながら笑顔で詰め寄る出雲にさんちゃんは背筋に冷たいモノが走ったらしく涙を流しながら謝った。
こわ…。
私が紅茶を飲みながら引いていると、遠くで見ていた鎌本と八田ちゃんと華奈も「こっえ」「引くわ」「さすが」と呟いていた。
それから数時間後。
さんちゃんは出雲に出された酒が入っていたコップをカンッとカウンターに置いた。
さん「あいつはねえ!昔っから腹の立つヤローだったんだ!」
下りて来たアンナにオムライスを出している多々良の横に華奈と並んで座り、その横にさんちゃんを座らせてまたその横に八田ちゃんが腰掛けている。
出雲はカウンター越しに話を聞いていた。
ちなみに私と華奈は宿題を終わらせて鞄を隅に置いておいた。
さん「あれは…忘れもしねぇ…幼稚園年長組の頃。俺の初恋だったさやちゃんは翔平に惚れてた。そ、それで…あの野郎、好きでもねーくせにさやちゃんとチューしやがった!」
うわあああと頭を抱えて泣き出すさんちゃんに八田ちゃんと華奈は思わず顔を引き攣らせた。
さん「好きでもねぇ女に手ェ出すなんて」
『…幼稚園の話でしょ?』
さん「それで…!なんでチューなんかって問い詰めたら…」
翔平「?さやがしたいって言ったから」
それを聞いて私と出雲は目を合わせた。
なんともまあ…。
出雲「女の子はませとるなあ」
さん「さやちゃんをビッチみたいに言うな!!」
出雲「いや言うてへんけど…聞けや」
何て言えばいいのか迷った出雲がはは…と笑いながらそう言ったらさんちゃんはドンッとテーブルを拳で叩いた。
酔っていてこっちの話を全然聞いていない。
明らかにイライラした様子の八田ちゃんが口を開く。
八田「……で?まさかそれだけのことをずっと恨んでんのか?」
さん「ちげーよ!まだまだある!小1の頃、花いちもんめで翔平はひっぱりだこだったのに俺だけ一度も指名がなかった!!」
出雲「は?それ翔平、責任あらへんやん」
さん「あいつばっかスポーツで派手に活躍しやがって。人望もあって…いっつも中心で…」
出雲の声も届いていないらしい。
さんちゃんがブツブツと呟いているので、私は机に頬杖をついて呆れたようにさんちゃんを見た。
『……あんたさあ…それ恨みじゃなくて単に…』
さん「でもっ!ここでは俺が先輩!俺が偉い」
『聞けよ』
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かなと - 違反だということを少しは意識して下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 8時