第8話 「Rainy Day」 ページ38
出雲は真っ白い空間に立っていた。
目の前にはソファに座る多々良の姿。
多々良「へーきへーき。なんとかなるって!」
出雲「十束…?」
いつものようにへらりと笑う多々良にどこか違和感を感じて声をかけたその時。
ゴオオオオと火が燃え上がるような音がして其方の方へ顔を向けた。
赤く燃え上がる炎の中心には、壊れかけのダモグレスの剣。
そしてその奥に見えたのは、チリチリと肌が焼かれている赤の王の姿。
出雲「尊…!」
出雲が呼ぶと、尊は密かに口角を上げた。
その姿をパアアアッと白い光が覆うと、次に見えたのはAと華奈の後ろ姿。
遠くへと向かう彼女たちの姿に出雲は不安になって声を上げた。
出雲「A…っ!華奈…っ!」
2人はその声に一度動きを止めると、顔だけ振り返った。
見えた2人の瞳は、いつもと同じスカイブルーと赤色ではなく。
Aの瞳は赤色に変わり、華奈の瞳は青色に変わっていた。
2人はチラリと出雲を見ると、ゆっくりとその端麗な顔に笑みを浮かべた。
いつものような満開の笑みではなく、どこか申し訳なさそうな、寂しそうなそんな笑みを。
華奈「『ごめんね』」
2人の唇がそう紡いだその時、出雲はハッと目を覚ました。
出雲「夢…か」
ベッドから起き上がってサイドテーブルへと視線を向けると、バスケのユニフォームを着て笑顔でピースしているAと華奈の写真が飾られていた。
助っ人で入った部活の試合で優勝した時に撮った写真だ。
出雲はそれを手に取って見つめると、先程の夢の中で見た2人の笑みが脳裏を過り、出雲は「はぁ」とため息を吐いた写真立てを片手に前髪を搔き上げた。
出雲「辛気くさ…」
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かなと - 違反だということを少しは意識して下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 8時