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夕方。
私は数時間前から尊の部屋で尊と一緒に寝ていた。
私は尊より小さいから、ソファで寝ていた尊の上に被さるように寝転がるとちょうどすっぽりと尊の腕の中に収まった。
そのまま寝ていると、ギィ…と尊の部屋のドアが開く。
入ってきたエリックは私と尊が寝ているのを確認すると、尊の首に手を伸ばした。
尊の髪にエリックの指が近づいた時、ピク…と震えた指に反応した尊がカッと目を開けてブワッと炎を出した。
勿論尊の上で寝ている私に危害が来ないように上手く炎を私の周りから避けているが。
それで目を覚ました私がエリックを見ると、尊の炎の強さに押されたのか、彼はドオンと炎と一緒に壁にぶち当たった。
『エリック…?』
尊「…ああ?」
私が寝ぼけ目でエリックを見ていると、私の体に腕を回した尊が起き上がった。
それと一緒に私の体も起き上がり、尊と一緒にソファに座る。
すると「何今の…」「何かあったの!?」と多々良と華奈がドアを開けて部屋に入ってきた。
そしてすぐ横の壁の焦げてかけている部分を見る。
多々良「うーわー……どしたのこれ」
尊「寝ぼけた」
華奈「A…」
『待って、私何もしてない』
ジト目でこっちを見るな。
尊「おまえ…確か藤島が拾ってきた奴か。うっかり殺すとこだったが…何か用か」
エリック「い…え」
エリックは尊の圧に押されたのかすぐに部屋を出て行った。
そんなエリックの後ろ姿を華奈が視線だけで見送る。
そして焦げて欠けた壁を見て苦笑した。
華奈「あーあ…これ出雲になんて言うのよ…」
『また…夢見でも悪かったの?』
隣にいる尊を見上げてそういうと、彼は私を見下ろして頭を撫でてくれた。
尊「…だけでもねえよ」
その言葉に私と多々良と華奈は視線を合わせる。
尊「あいつには気をつけとけ」
多々良「え?」
尊「あいつ…殺気みせたぜ」
私達は顔を見合わせた。
そして出雲とアンナが尊の部屋に来ると、出雲は壁を見つめて唖然とした。
私は尊の隣でソファに両足を上げて気まずげに目を逸らす。
出雲「………なんやねんこれ」
尊「…いやだから、寝ぼけて」
出雲「聞いたわアホッ!!おまっ…ここ最近俺がどんだけ手間かけて掃除したと思ってんねん。それがこれ…もう掃除とかいう状態ちゃうし、要リフォームレベルやし!」
尊「…………スマン」
出雲「スマンじゃ済まんわ!」
私と華奈は密かに視線を交わして苦笑した。
尊が出雲に怒られるという珍しい光景だ。
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かなと - 違反だということを少しは意識して下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月24日 8時) (レス) id: 8e417a7b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年7月24日 8時