278話 『ハンバーガー』 ページ36
和人side
積極的殺人歴のある本格的なオレンジプレイヤーこそ、カウンセリングの要有りということで一年以上の治療と経過観察を義務付けられたものの、俺を含めて自衛のために他のプレイヤーを手に掛けた者は少なくないし、盗みや恐喝といった犯罪行為は記録に残らぬゆえにチェックのしようもない。
よって、基本的にアインクラッドでの名前を出すのは忌避されているのだが、何せ顔がSAO時代とほとんど同じだ。
Aとアスナに至っては入学直後に即バレしていたようだし、俺と瞬斗も一部の旧上層プレイヤーの間では、古い通り名を含めてかなりの部分が露見してしまっている節がある。
俺は膝の上で小さな籐のバスケットを抱えているAの左手をそっと取り、両手で包み込んだ。
まだかなり細いが、目覚めた直後に比べればふっくらとしてきつつある。
入学に間に合わせようとしたため、リハビリテーションは相当に過酷なものとなったらしい。
サクラとリュウが早く動けるようにと独自で方法を考え、二人に提供したのもあり、松葉杖なしで歩けるようになったのはつい最近のことで、今でも走ることを含め運動の類は固く禁じられているそうだ。
覚醒後も、俺と瞬斗は頻繁に病院を訪れたが、歯を食い縛り、涙を滲ませながらサクラとリュウが考えた歩行訓練をするAとアスナの姿には我が身を切られるような痛々しさを感じた。
あの頃のことを思い出した俺は、いつしかAの細い指を、そっと、何度も何度も撫でていた。
『……和人くん』
という声に顔を上げると、Aはやや頬を染めつつも呆れた声で言った。
『知らないのかい？ここ、カフェテリアから丸見えなんだよー』
和人「なぬ……」
顔を上げると、確かに木々の上に、校舎最上階の大きな採光ガラスが見えた。
慌てて手を離す。
『ほんとにもう……』
Aは呆れたようにため息をつくと、再びつんと顔を逸らせた。
『うっかり屋さんには、お弁当あげない』
和人「うあ、勘弁」
必死に謝ること数秒、Aはようやくニコリと笑い、膝の上のバスケットの蓋を開けた。
丸いキッチンぺーパーの包みを三つ取り出し、俺と瞬斗とアスナに差し出す。
受け取っていそいそと紙を開くと、それはレタスのはみ出た大ぶりのハンバーガーだった。
香ばしい香りに胃を直撃され、俺たちは慌てて大口をあけてかぶりつく。
和人,瞬斗「こっ……この味は……」
明日奈「嘘!?」
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闇月 - 面白かったです！できれば描かれなかった場面等も番外編として書いていただけると幸いです！ (1月19日 7時) (
レス) id: 089480a605 (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - こんにちは！高橋と申します！！この作品本当に何回読んでも飽きません!どうかオーディナルスケールのも書いてほしいです!いつでも待ってます!これからも頑張って下さい! (2022年9月11日 22時) (レス) id: 1dbf6b758f (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 一気読みしました！ 今ある作品が完結してからでもガンゲイルオンライン書いてほしいです！ (2020年8月13日 19時) (レス) id: af6a216dc9 (このIDを非表示/違反報告)
MEGUMI(プロフ) - 一度ならず二度までも読破してしまいました(笑)オーディナルスケールは内容はあまり知らないけどアリシゼーションとアリシゼーションブレイディングは大体知ってるのでアリシゼーション編を書いてほしいなぁです！ (2020年7月4日 10時) (レス) id: 7610968079 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 是非、オーディナルスケール編も読んで見てみたいです。面白かったです。 (2019年10月31日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月1日 22時
