第6話 ページ8
ヨナside
私は父上に、姉様とスウォンのことを話すと、父上は「スウォンはダメだ」と言った。
どうして…という思いで一杯だ。
ハクの事も言おうと思ったけど、ハクがその場にいたから言えなかった。
私は自分の部屋を出ると、雨が降りしきる中、壁に座り込みながら空を見上げた。
姉様の夫となる人は不幸になってもいいの?
姉様は…?
姉様は幸せになってはいけないの?
そう考え込んでいると、ヒタヒタと足音が聞こえた。
その方向に目を向けると、そこには壁に手を当てている人影と私を覗く目。
「誰…?ハク…?カナ…?ハクでしょ、そんな…。くだらない事して…」
伸ばされた手に私はぞっとして、腰を上げるとその場からダッと走り出した。
父上が言っていたことが頭に浮かぶ。
ーーー《お前達の母は賊に襲われ殺された》ーーー
まさか、そんな。
雷が鳴った瞬間、私の後ろに見えた人影に、私は走る速度を上げると姉様の部屋に飛び込んだ。
バタンッ
『ヨナ…?』
不思議そうに首を傾げる姉様に思い切り抱き着く。
『どうしたの?』
「ね…姉様…へ…変な人が私を追いかけて…」
『!』
目を見開いた姉様はゆっくりと私を離すと、扉を開けて外を確認した。
『……誰もいないわ』
逃げたんだ。
城の衛兵なら普通に声をかけるもの…。
私を。
私を狙った。
ーーー《王の一族は、皆このような危険がつきまとう》ーーー
私が皇女だから、狙われたの?
私が王の娘だから。
『ヨナ?』
「……っ」
『ヨナっ』
「いやああっ」
怖くて、耳を塞ぎながら悲鳴を上げるとバサッと姉様の肩掛けが被せられた。
姉様は私と額を合わせながら安心させるように優しい声で言う。
『ヨナ、大丈夫。私がいるわ』
姉様。
『そうね、今日は一緒に寝ましょう?それでも怖いならカナを呼んで3人で寝ましょうか』
姉様の言葉に首を横に振って、私は姉様と2人で寝ることを選んだ。
『おいで、ヨナ』
自分の肩掛けを私に被せたまま姉様は自身の寝床へと手を引いて連れて行ってくれた。
その夜、私は姉様に抱き着いて眠った。
姉様は、やっぱり誰にも渡したくないなぁ。
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時