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第23話 「ただ息をしているだけ」 ページ25

「食わないんですか?姫様」


焼き魚を差し出すハクに何の反応も示さないAとヨナを見て、カナは一度目を伏せると声を明るくしてニコリと微笑みかけた。


「…魚が嫌なら鳥でも捌きましょうか?」


それでも反応がない2人にハクとカナは目を合わせた。


「…少しでも食べた方がいいですよ」

「ここから先、山道がさらに険しくなる。食糧が確保出来るかわからない。ここは魚があるだけマシだ」


カナとハクがそう言うがAとヨナは何も反応を示さないまま、虚ろな瞳でただじっと地面を見続けていた。


―――時間が経つにつれてどんどん弱ってゆく―――


「姫様方、あちらに池があったので水浴びに行きましょうか」


見かねたカナがそう言うと2人は小さくコクリと頷いた。
小さな反応にカナはホッと小さく息をつくと2人の手を引っ張って池の元まで行き、自分が見張りをすると言ってA達を水浴びさせた。
2人の側にある岩に背中を預けて座ったカナは立てた片膝に右肘をついて口許に手を当てながら考え込んだ。


―――体力だけじゃない。時間が経っても現実を直視できないんだ。陛下の死とスウォンの裏切りを―――



バシャッ



『「あ…」』


急に聞こえてきた2人の声にカナは思考を止めると急いで2人の元へ向かった。
ヨナとAは岩に座り込んで怯えたようにカナを見つめている。


「何…これ…」

「蛭です」

『ひる…?』

「じっとしてて」


2人の足に張り付く蛭をペッと指ではじいていく。


「こいつは池や沼に住み、血を吸うんですよ」

「『血…』」

「なに、大事には至りません」


するとAとヨナの声を聞いたハクが3人の元へ駆けつけてきた。


「おい、どうし…」

「こっちくんな」



バシッ



「いって!」


何も身に纏っていないAとヨナを見せるわけにはいかないので駆けつけてきたハクにカナは自身が身に着けていた羽織を投げつける。


「服、ここに置いときますからね」


そう言ってハクが投げつけた羽織を取る前にハクの背を押して元の場所に戻っていく。


「何すんだ」

「あんた、姫さんたちの裸みたいの?」


カナがそう言って後ろからハクを睨みつけると、ハクは大人しくなったので2人で元の場所へと歩き出す。


―――この先、ずっと姫さんたちはあのままだろうか?

食事もせずただ私達に手を引かれて歩くだけ。

まるで人形ね―――


カナがそう考えていると前を歩いていたハクがボソリと呟いた。


「満足か…?」

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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時

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