第15話 ページ17
カナとハクがぎゃあぎゃあと言い合いを始めると、イルがまたも止めに入り笑みを浮かべながらハクに言った。
「だから、ハク。Aの護衛としてずっと城にいてくれないかい?」
「俺は“貴族”ってのが面倒で仕方ないんですよ。城に入ったり将軍になったりすれば家でのんびり昼寝も出来ない」
「ハク…」
あんた、それあたしにケンカ売ってる?とカナが黒いオーラを出しながらハクの名前を呼ぶが、ハクはそれを敢えて無視する。
「陛下は武器はお嫌いなのでしょう?なら、武器も持たずに人を護衛する世にも貴重な人間を探して下さいよ」
「ハクっ」
イルがハクの名前を呼んだがハクは振り返らず歩いていった。
―――正直、王家や貴族とは関わりたくない。腹の探り合いも足の引っぱり合いもくだらねェ。王は王で危機感ねェし。そして
『ハク!』
この城に来たくないもう一つの理由は
『隠して』
昔っからこの姫さんといると、俺は調子狂って仕方ない―――
ヨナと共にハクの後ろに隠れたA。
ハクはそれを一瞥すると、「A姫」とAの名前を呼ぶ方向へと視線を向けた。
「姫様ーーっどこです〜〜っ」
―――あれは、火の部族長のご子息…―――
ハクの背後から様子を見ていたAとヨナは男の姿が見えなくなると、ふぅと息をついてハクの背後から出た。
「ダメですよ、ヨナ姫。イタズラはバレないようにしないと」
「違うわよ」
額に青筋を浮かべながらそう言うと隣にいたAがまぁまぁ、とそれを宥めて理由を話した。
「言い寄られてる!?」
気まずそうに頷くAの隣でヨナが頷くと、ハクは足を手でたたきながら爆笑した。
―――まぁ、確かにA姫は可愛いけど…―――
「本当だってば!シメるわよ」
ヨナが爆笑しているハクにそう言うと、怒ったように両手を腰に当てて口を開いた。
「あのカン・テジュンとかいう人、度々城に来ては姉様に贈り物やら遊びに誘ったりするのよ」
『たまに、変なこと言ってきたり…』
遠慮気味にAがそう言うとヨナは「そうよ!」と賛同した。
「華のように愛らしいだの、その瞳の矢に射抜かれただの、ムズムズする台詞ばっかり!」
自分に言われているかのように憤慨するヨナ。
―――王には現在皇太子がいない。ここは姫の美貌と玉座を手に入れようというわけか―――
「すっごくしつこいのよ」
「なら、俺と縁談があるってことにすればいいんじゃないですか?」
『え!?//』
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時