第13話 「うしろ手の強さ」 ページ15
「……姫、ヨナ姫」
Aに手を引かれて歩いていたヨナが地面にぺたりと座り込んだ。
歩きなれない山道を歩いて体力の限界が来たのだろう。
はあ、はあと荒い息をつくヨナにしゃがみ込んだカナが声をかける。
「少し休みますか?」
「……カナ」
Aに支えられて木に寄りかかったヨナはAの手をぎゅっと握り締めた。
「ミンスは…死んじゃったの…?私も…死ぬのかな。姉様も、ハクも、カナも…スウォンに……殺されて」
「あんなクソッタレにやる命なんて持ち合わせてねェですよ」
「ええ。あたしもありません」
『私も』
ハク、カナ、Aがそう言うと、
「死なないでね……姉様…カナ…ハク。死んだら……許さない…から…」
ヨナはゆっくりと目を閉じて眠りについた。
涙が流れるヨナの頬をAが目を細めて拭いとる。
『辛いわよね……ヨナには…』
「あんたは大丈夫なんですか?」
ハクのその言葉に振り返ると心配そうにAを見つめるカナの横でハクが眉を顰めてAを見ていた。
『私は……』
「姫様、もうヨナ姫は眠りましたよ。我慢なんてすることないんです」
カナの言葉に今まで堪えていた涙がAの目から溢れ出した。
顔を両手で覆い、嗚咽を溢しながら涙を流し続ける。
『なんで…こんな、こと…に……私は…こんなこと、のぞんで…なかったのに…』
絶えず涙を流し続けるAをカナが抱きしめようとすると、それより先にハクがその体を包み込んだ。
何も言わず、ただ自分を抱きしめるハクの腕にAは密かな暖かさと安心感を抱きゆっくりと目を閉じた。
―――なんて、安心する体温なのだろう…―――
すぅすぅ、と小さな寝息が聞こえてくるとハクはヨナの隣にAを寄りかからせた。
そしてその頬に流れる涙を拭う。
「……まだ、信じられねェな……」
「……イル陛下が死んだなんて、ね……」
カナが頷いた。
「姫を2人だけにして…しょーもねー王様だよ」
眠っているヨナとAをハクとカナは見つめた。
―――昔っから見てきた。汚れや痛みなど知らない姫だった
「なあ…陛下。どうすればいい……?」
俺にはあの頃が、まだ昨日の事のようですよ―――
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時