78話 『訓練』 ページ31
貴方side
翌日の朝、僕たちはギルドのユニフォームに袖を通すと、五十五層グランザムへ向かった。
今日から血盟騎士団の副団長補佐としての活動が始まる。と言っても、本来なら五人一組で攻略に当たるところを、副団長アスナとその補佐である僕の強権発動によって六人のパーティーを組むことになっていたので、実質的には今までやっていたことと変わらない。
しかし、ギルド本部で僕たちを待っていたのは意外な言葉だった。
リュウ「訓練……？」
「そうだ。私を含む団員のパーティーを組み、ここ55層の迷宮区を突破して56層主街区まで到達してもらう」
そう言ったのは、以前ヒースクリフと面談した時同席していた四人の内の一人だった。もじゃもじゃの巻き毛を持つ大男で、どうやら斧戦士らしい。
アスナ「ちょっとゴドフリー!シュン君たちはわたしとランカが……」
食ってかかるアスナに、片方の眉毛を上げると堂々たる、あるいはふてぶてしい態度で言い返す。
ゴドフリー「副団長と言っても規律をないがしろにして戴いては困りますな。実際の攻略時のパーティーについてはまあ了承しましょう。ただ、一度はフォワードの指揮を預かるこの私に実力を見せて貰わねば。たとえユニークスキル使いと言っても、使えるかどうかはまた別。ランカ様は以前参謀をやって戴いたことがありますから実力は知っていますが」
アスナ「あ、あんたなんか問題にならないくらいシュン君たちは強いわよ……」
半ギレしそうになるアスナを制して、シュンは言った。
シュン「見たいと言うなら見せるぜ。ただ、今更こんな低層の迷宮で時間を潰すのはごめんだな」
キリト「そうだな。一気に突破するけど構わないだろう？」
ゴドフリーという男は不愉快そうに口をへの字に曲げると、三十分後に街の西門に集合、と言い残してのっしのっしと歩いていった。
アスナ「なあにあれ!!」
アスナは憤慨したようにブーツで傍らの鉄柱を蹴飛ばす。
『ごめんねみんな。やっぱりみんなで逃げちゃったほうが良かったかなぁ……』
サクラ「そんなことしたら、私たちがギルメン全員に呪い殺されちゃうわよ」
サクラの言葉にキリト君は笑って僕の頭にぽん、と手を置いた。
アスナ「うう、今日は一緒にいられると思ったのに……」
『僕たちもついていこうかな……』
キリト「すぐ帰ってくるさ。ここで待っててくれ」
『うん……。気を付けてね……』
そして四人はギルド本部を出ていった。
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年3月5日 0時
