【名探偵コナン】双子は美少女で名探偵と怪盗!?

15話 ページ18

浅く当たって体勢を崩した陽奈に、すぐさま間を詰めて右正拳を突いた。
立て続けに左、右と拳で突く。
さらに前蹴りを放つと、陽奈は下がってかわした。
ぐっとこらえた陽奈が踏み込んで拳を突く。
蘭は右腕で受けて横蹴りを繰り出した。

蘭「やぁーーーッ!!」

と向かってくる蘭に、陽奈も応戦した。
強烈なパンチが蘭を襲う。
陽奈の猛攻に追い詰められた蘭は、ついに副審のいるコーナーにまで押されてしまった。
すんでのところで蹴りを返したが、よろめいて場外に転んでしまう。
場外で倒れていた蘭が立ち上がり、元の位置に戻ると、主審がピピッと笛を鳴らした。

蘭「あ……」

主審に指差されて、自分の帯が緩んでいるのに気付いた。
後ろを向いた蘭は帯を締め直し、大きく息を吸って気合を入れ直した。
そして前を向くと───正面入り口でAが手を振っていた。
隣には新一もいる。

(……A……)

Aは両手を胸の前で合わせ、パクパクと口を動かした。
蘭がAの唇をじっと見つめる。

(何？ジ……ケ……ン……？)

ごめん、事件なんだ───唇の動きを読んだ蘭は、ピクリと眉を動かした。

いつもそうだ。
肝心なときに事件が起きて、Aはわたしをそっちのけで新一と事件に向かってしまう。
この前の水族館だって、殺人事件のせいでせっかくのデート(邪魔な新一がいたけど)が台無しになってしまった。
今日の試合だって、Aに一番見てほしかったのに───……!!

考えれば考えるほど怒りがフツフツと湧いてきて、蘭は拳をギュッと握りしめた。

(いつもいつも……事件事件って……)

蘭の後ろ姿から怒りのオーラがゆらゆらと立ち昇り、その殺気立った姿に気付いた主審と陽奈が「えっ」と体を強張らせる。

蘭「この……推理オタクがぁ〜〜〜〜ッ!!」

蘭は無意識のうちに心の叫びを思いっきり口に出していた。





どんよりと曇っていた空は夜になるとさらに雲が低く垂れ込めて、遠くではゴロゴロと雷鳴が鳴っていた。
新一とAが事件現場の英国風洋館に着くと、今にも雨が降り出しそうな中、警官や鑑識員が中庭に面したベランダの窓の下を調べていた。
ベランダがある建物のそばには別棟が建てられており、その間は五メートルほどしか離れていない。
二人が二つの建物を見上げていると、夜空が雷光に瞬いた。
光に照らされた新一の顔に笑みが浮かぶ。
暗雲が垂れ込める空の下、中庭を後にした新一とAは颯爽とした足取りで洋館へ入って行った。

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