152色 ページ31
.
『相澤先輩？』
ドアを開けたら、そこには職員室を出た時と変わらない格好をした、相澤先輩が立っていた。
相変わらず怠そうな目をした相澤先輩が「起きてたか」とひとこと漏らす。
『えぇ、まぁ……。そんなことよりどうしたんすか？』
ずかずかと無遠慮に上がり込み、我が物顔でソファに腰を沈める相澤先輩を訝しげに見つめる。
怠そうな目、ぼさぼさの蓬髪、無精髭。
腕と足を組んで捕縛布に顔を埋める姿は確かにいつもと変わりはないが、俺には分かる。
先輩は、普段ならノックなんかしない。
先輩は、普段なら余程のことがない限り深夜に人を訪ねない。
先輩は、普段なら用を電話かメールで済ます。
「まぁ……座れよ」
ぽんぽん、と自身の隣を軽く叩く相澤先輩にやっぱり違和感を感じて首を傾げた。
合理主義の先輩は、時間を無駄にしない。用件があればこちらの事情なんかある程度無視してすぐに言ってくるくせに。
拭いきれない違和感と不信感に眉を顰めながら、隣に座る。
想い人が隣に居るからか、想い人のいつもとは違う行動からか、心臓が煩く脈を打っていた。
「悪いな、夜分遅くに。」
『いえ……こんな時間まで、お疲れ様です』
「おう」
『……………』
「……………」
いや会話続かねぇ……!! 何しに来たんだこの人……!!
普段なら気にならない静寂も、あんな夢を見たせいか気まずくて、思わず下を向いた。
隣で相澤先輩が、ほぅ、と息をついた。
「お前は、俺と初めて会った日のことを憶えているか」
『え？……えぇ。
体育祭の後の休日明けに、俺が3年生の教室を訪ねて』
「あぁ……お前はやっぱりそう思ってたんだな」
チラリとこちらを見た相澤先輩と目が合う。
じっとこちらを見つめる相澤先輩が何を思っているのか、その目から読み取ることは出来ない。
が、なんとなく居心地が悪くなって視線を彷徨わせた。
口振りから察するに、相澤先輩は俺のことを前から知っていたらしい。
「体育祭前に、俺とお前は1度会っている。保健室で。」
『……え？』
「泥とペンキに塗れた、傷だらけのお前に会った。」
すっ、と目を閉じた相澤先輩が昔を思い出すかのような表情をしている。
.
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀 - ごめんなさい！Rの方が表示されないのですがボードなどにリンクを貼っていただくことは可能でしょうか？凄く気になって仕方ないのですが表示されなくて困っています…お願いします (2021年10月29日 5時) (
レス) id: 87cefe627d (このIDを非表示/違反報告)
ばななじゅーす(プロフ) - 最後の相澤先輩の「理性で ｰ 。」っていう言葉でやられまくりましたね、。追い打ちをかけるように色川くんの『大丈夫。ｰ 』っていう所で完全に色川くんに堕ちました（ も、ほんと好みの作品過ぎて終わってしまうのが、ね。（ 番外編待ってますね！！！ (2019年2月23日 22時) (レス) id: cd1bf2aaef (このIDを非表示/違反報告)
脊威(プロフ) - 完結おめでとうございます！ハラハラドキドキしながら最後までじっくり読ませて頂きました(* ´ ▽ ` *)お疲れ様でした！ (2019年2月23日 21時) (レス) id: f945d58f3d (このIDを非表示/違反報告)
ばななじゅーす(プロフ) - 初コメ失礼します！！！もぉ、やばいやばいやばいやばいいぃ（語彙力 めっっっっちゃキュンキュンっす、、！！！相澤先輩カッコよすぎる、、色川くんかわぃぃぃぃい（（語彙力 更新楽しみにまってます！！！ (2019年2月23日 10時) (レス) id: cd1bf2aaef (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - おおおおあああ！！！ついに.........ついにですね！！！ありがとうございます(？) (2019年2月21日 10時) (レス) id: 885c6ec8a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：戴天の白 | 作成日時：2018年9月15日 19時
