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*425*気づいた ページ9

――…眠れない。





暗闇の中、目を開く。

枕もとの時計を見ると午前1時半。
むくりとベッドから起き上がり、すとんと床に足をおろす。


水でも、飲もうかな。


そう思い、音をたてないようにそーっと部屋を出た。
静かに階段をおりて、リビングへ。

そのままリビングをつっきり、食堂へ―…

―…と。


『(あれ…電気、ついてる)』


食堂に電気が、ついている。
誰か眠れないのだろうか、それとも消し忘れだろうか。

そっと食堂に入ると、そこにいたのは。


『天月…くん?』
「あっ、A」


食堂のテーブルの上にノートパソコンを置き、眼鏡をかけて画面を見つめる天月くんだった。
私の声で、はじめて私に気がついたような様子。
疲れたような笑顔を向ける。

―…人の気配に気づかないなんてこと、普段の天月くんなら絶対にありえないのに。


「どうしたの?眠れない?」


天月くんが、やさしく話しかけてくれる。
私は、頭をかきながら、えへへ、と笑った。


『あ、うん…まだ、混乱してて』
「そっか。…まあ、無理もないね」


沈黙が訪れる。
空気が重苦しくなってきているのを察して、私は慌てて違う話題をふった。


『天月くんは、何してるの?』
「んー…」


天月くんは数瞬迷ったようなそぶりを見せるも、こいこいと手招きをしてPCの画面を見せてくれる。
そこに表示されていたのは、「弁護士・四之宮衛の公演・イベント出演予定」という名のついたホームページ。
弁護士の四之宮衛。

…しゃむくんの、お父さんじゃないか。

『これって…』

ハッとする私に、天月くんは苦笑して。

「しゃむくんを連れて行っちゃったのはお父さんって、ほぼ確定してるでしょ。どこにいるかわからない状況だと…ちょっと、心もとないじゃない?何もしてないより、いいかなって」


その瞬間に、やっと気づいた。

私のショックなんて比でもないくらいに、天月くんはショックを受けているであろうことに。
何も知らなかった私とは違う、きっと天月くんは頭がいいから、こうならないように何とかしようと動いていたはずだ。
けれど、こういう結果になってしまった。

―…そんなの、私だったらきっと笑えない。

天月くんみたいに、他の人に心配をかけないようにって笑うことなんて、できない。

調子に乗りました(色追加しました)→←*424*先が見えないの



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水鎖。 - シェアハウスずっと読んでます…!!ストーリーや時間軸がちゃんとしてて読みやすいし、何よりキャラクターの個性がそれぞれ萌えて面白いですっ!!アイコンなんですが、Twitterアイコンに利用させてもらってもよろしいでしょうか…!? (2015年2月1日 22時) (レス) id: 9c55b788b9 (このIDを非表示/違反報告)
BELL - HQの同人誌<黒研>なら4冊持ってます。及川攻めなら2冊出てますよ♪ (2015年1月12日 16時) (レス) id: 70d416ebac (このIDを非表示/違反報告)
青空バード - わー、終わってほしくないです… (2014年12月7日 17時) (レス) id: 37a6055bcc (このIDを非表示/違反報告)
水滴(プロフ) - べっ別にむしろ15までいってほしいとかそんなことめっちゃ思ってるんだからね!() (2014年12月6日 22時) (レス) id: 203b1aa01e (このIDを非表示/違反報告)
白猫ナル@月山(プロフ) - さやえんどうさん» レスありがとうございまーす!数学のテスト死にました!←無理はしてないですよー!明日献上できたら献上しに来ますね!もう少し遅れるかもしれませんが… (2014年12月6日 20時) (レス) id: 4f80e5a98d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さやえんどう | 作者ホームページ:http  
作成日時:2014年8月5日 19時

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