*441*ダイブ! ページ28
私たちはハッとそちらを見る。
そこには。
「っはぁ、はぁ…っ。しゃむく、やっほー…」
「まふくん!?」
肩で息をするまふくんに駆け寄るしゃむくん。
しゃむくんに触れられて、まふくんは嬉しそうに目元を緩めた。
すると、その後ろからやってくる96ちゃんと―…店長。
また涙が溢れそうになった。
そんな私に気づいたのか、店長は親指をグッと立てる。
そして、96ちゃんが慌てた様子で言った。
「はいはい!感動の再会はあ・と・で!
――…しゃむくん、いい?私たち、今からしゃむくんのこと拉致るよ」
その言葉を聞いたしゃむくんは苦笑して。
「捕まらないようにしてね」
と。
そんなしゃむくんの肩に店長はポンと手を置いて。
「今は逃げるんじゃない、解決をするために“動く”んだ。勘違いしないでね」
「っ…はい」
頷いたしゃむくん。
――…その姿に感慨を覚えたのも束の間。
「いたぞ!」
『!?』
扉がバンと開いて、入ってきたのは警備員。
思わず身を固まらせる私の首根っこを、店長が引っつかんだ。
「A、奥歯噛み締めて!舌噛むよ!」
『えッ!?』
「はやく!」
戸惑いがちに奥歯を噛み締めた瞬間。
ふわり、宙に浮いた感覚。
そして次の瞬間、私の体はバランスを失ってぐらり、傾く。
『いやあああぁぁ!』
咄嗟に、すぐそこにあったものにしがみつく。
それは。
「Aッ…う、そのまま掴まってて、ねッ!」
『う、うわまふくんごめん…!』
私はいま、まふくんにお姫様だっこされてる――…!
なんて思ったものの、それにいちいちときめている余裕なんてない。
後ろから警備員が手をのばす、が。
『―っ…!』
まふくんは私を抱き抱えたまま、ふわり、開け放たれた窓から空中に身を踊らせた。
うそ、ここ3階…!
今更ながら店長の言葉が思い出されて、慌てて奥歯を噛みしめた。
次の瞬間。
『う、っわああ!』
「〜〜っ!」
ずぼり、私たちが突っ込んだのは庭のご立派な植木。
それがクッションになって(というか私の場合はまふくんもクッションになってくれて)、完全に無傷。
周りを見回すと、しゃむくんが96ちゃんに手を引かれてすぐ隣の植木に突っ込んだところだった。
けれど、ほっとしている暇なんてない。
最後に飛び降りてきた店長がすぐさま立ち上がり、目の前にある裏門を指さした。
「あそこ!あそこまで走って!」
『わかった!』
私はまふくんに手を引かれて、思いっきり走った。
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水鎖。 - シェアハウスずっと読んでます…!!ストーリーや時間軸がちゃんとしてて読みやすいし、何よりキャラクターの個性がそれぞれ萌えて面白いですっ!!アイコンなんですが、Twitterアイコンに利用させてもらってもよろしいでしょうか…!? (2015年2月1日 22時) (レス) id: 9c55b788b9 (このIDを非表示/違反報告)
BELL - HQの同人誌<黒研>なら4冊持ってます。及川攻めなら2冊出てますよ♪ (2015年1月12日 16時) (レス) id: 70d416ebac (このIDを非表示/違反報告)
青空バード - わー、終わってほしくないです… (2014年12月7日 17時) (レス) id: 37a6055bcc (このIDを非表示/違反報告)
水滴(プロフ) - べっ別にむしろ15までいってほしいとかそんなことめっちゃ思ってるんだからね!() (2014年12月6日 22時) (レス) id: 203b1aa01e (このIDを非表示/違反報告)
白猫ナル@月山(プロフ) - さやえんどうさん» レスありがとうございまーす!数学のテスト死にました!←無理はしてないですよー!明日献上できたら献上しに来ますね!もう少し遅れるかもしれませんが… (2014年12月6日 20時) (レス) id: 4f80e5a98d (このIDを非表示/違反報告)
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