16・飼い主からの忠告 ページ16
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ホテルのワンフロアを貸し切り行われる取引先の周年パーティ。お酒を飲むことになるだろうからと私達はタクシーで向かった。ホテルのロータリーは黒塗りの高級車がズラリと並び、やはりすごい所に来てしまったと実感。
近づくに連れ口数が減った私に夏油さんは
『こういう場ってみんな見栄の張り合いだから、たまに嫌なこと言ってくる人もいるんだよね。だからわたしから離れたらいけないよ』
と言った。秘書になったばかりだからこういう場での最善な振る舞いの仕方がわからない。
「う゛‥怖い、絶対側にいさせてください」
『あぁ、そうして』
(君に他意はないんだろうけど、今のは破壊力が凄いな‥)
夏油は、ふぅと小さく息をはいた。
◇◇◇
タクシーを降りてホテルのラウンジを抜ける。そこかしこにスーツをビシッと着こなす会社役員らしき人や私のようにドレスを着た女性がいる。あの人達も秘書さん達なのかな、と考えながら夏油さんの隣を歩いた。
エレベーターホールで隣からの視線を感じる
『わたしがさっき言ったこと、覚えてる?』
「はいもちろん、大丈夫ですよ?でも私、そんなにメンタル弱くないので、何言われても結構平気かもです」
お任せください、と夏油さんの目を見て笑顔を見せた。大事なお仕事の場に、秘書が余計な心配をかけさせてどうするんだって話。
んーそれもあるんだけど、と頬に伸びる手
『絶対他の男に触れさせないでね』
「へ?」
突然のことに変な声が出た。誤魔化すように到着したエレベーターに乗り込みながら私は自虐気味に笑った
「や、やだなぁそんな事にはならないですよ。私ですよ?」
他に綺麗なひと山程いましたよさっき、と顔を上げると、なぜか憮然とした顔が真正面に。
ダンッと両側に手をつかれて見下される
「夏油さんっ近いです‥」
『きみ、ここに来るまでどれだけの人に見られてたかわかってる?こんなに脚を露出して‥男たちが考えることなんて皆同じだからね』
「っや、」
スル、とスリットを撫でられ体が震えた
「なにその鳴き声。誘惑してる?」
猫を愛でるような仕草で私の顎に触れた夏油さんは私の耳に口を近付けた
『君の飼い主はわたしってこと、くれぐれも忘れないように』
挑発するように細められた瞳に私の心臓はバクバクと変な音を立てた。
てゆうかここエレベーターです夏油さん。あなたこそ油断も隙もあったもんじゃないですよ。
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すみっことかげ(プロフ) - 歯磨き子さん» コメントありがとうございます!嬉しいです☆お、ここにも夏油さん推しがいらっしゃいましたか!!かっこいいですよねぇ本当! (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き子 - キュンキュンしすぎて・・・ありがとうございます。夏油推しには最高です、夏油様どこにいるんでしょうか() (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 0d41b786f3 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - こんぶさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんばりに驚いてもらえましたかね?面白いと言ってくださり嬉しいです!何故こんなおかしな事になってるのか、次話で明らかになるのでお楽しみに!! (2021年9月26日 7時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
こんぶ - NYの新事実に目玉が飛び出る所でしたw私もニューヨークだと思っていたので。本当に面白いです(*^^*) (2021年9月26日 3時) (レス) @page44 id: 7f18273dc2 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - しゅーくりーむさん» コメントありがとうございます!わあ!そう言っていただけて嬉しすぎます!夏油さんかっこいいですよね、やばいですよね。理想を崩さないように頑張って書きますね!! (2021年9月23日 8時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみっことかげ | 作成日時:2021年8月12日 16時