33・役者は一枚ウワテ ページ33
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お代はあらかじめお店に支払ってたから大丈夫だろう、なんて変に冷静な頭で夏油さんを引っ張ったままお店を出て足早に歩く。けどその後の事なんて何も考えておらず‥
(夏油さん、ちょっとソノ気になってたし、それを私ってば無理矢理連れてきちゃった‥ど、どうしよう‥)
(納得してもらえるような理由なんてないし、思いつかない‥。ただ単純に夏油さんに触られてるのが嫌だったんだ‥)
そんな事をぐるぐる考えているとA?と優しい声がして
『せっかく手を繋いでくれるならもう少しゆっくり歩きたいな?』
「っ?!」
言われるまで気づかず、勢いのまま夏油さんの手首を掴んで歩いて来ていた
「っ、うわ!」
バッと手を離すと、彼はすぐに私の手首を掴み直し近くのガードレールにそっと腰を下ろした
『どうして私を連れてきたの?』
「ぁ‥いや、」
『お昼のときみたいに逃さないよ?』
「ひぇ」
彼の後ろを車が行き交う。それが途切れた時、恐る恐る口を開いた
「お楽しみを奪ってごめんなさい。でも‥嫌だったんです、どうしても‥」
目を見れなくて、彼の靴に話し続けた
「最初は純粋に逆セクハラから、上司の貞操を守らなきゃって思ったんです、でも、夏油さん意外とソノ気になっちゃってるし、そしたらなんか、凄く嫌で‥‥」
勝手な事してごめんなさい、と呟く。下見すぎてそろそろ首が痛いけど‥
夏油さんから一切の反応がない。不安になって顔を上げると下を向き震える彼‥
『プッ‥ククク‥上司の貞操って‥クク‥』
「‥笑ってます?」
『わ、笑ってます‥クククッ、』
「なんで?!」
『なんでって、Aにはわたしがそう見えたって事だよね?』
ふふっ、じゃあわたしの演技力も捨てたもんじゃないって事かな、なんてのんきに笑ってて
『あの雰囲気で断ったら後々面倒くさそうだろ?だからとりあえず二人になって、強い酒でも飲ませて潰して置いてこようとしてたんだよ』
わたしだってさすがにアレは勘弁だよ、と肩をすくめる夏油さんは
『でもAのせいで計画は失敗しちゃったけどね』
なんてけろりとぬかす。やば。そんな計画なら初めから言っといてくださいよ!と言うと
『ま、後は帰ってから話そうか』
と、夏油さんからもう一度繋がれた手。
その大きな手に私は
はい、と答え歩きながら高鳴る心音を必死に落ち着かせた
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すみっことかげ(プロフ) - 歯磨き子さん» コメントありがとうございます!嬉しいです☆お、ここにも夏油さん推しがいらっしゃいましたか!!かっこいいですよねぇ本当! (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き子 - キュンキュンしすぎて・・・ありがとうございます。夏油推しには最高です、夏油様どこにいるんでしょうか() (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 0d41b786f3 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - こんぶさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんばりに驚いてもらえましたかね?面白いと言ってくださり嬉しいです!何故こんなおかしな事になってるのか、次話で明らかになるのでお楽しみに!! (2021年9月26日 7時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
こんぶ - NYの新事実に目玉が飛び出る所でしたw私もニューヨークだと思っていたので。本当に面白いです(*^^*) (2021年9月26日 3時) (レス) @page44 id: 7f18273dc2 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - しゅーくりーむさん» コメントありがとうございます!わあ!そう言っていただけて嬉しすぎます!夏油さんかっこいいですよね、やばいですよね。理想を崩さないように頑張って書きますね!! (2021年9月23日 8時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみっことかげ | 作成日時:2021年8月12日 16時