38日目 ページ38
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そのあとも夏油に散々両の耳を可愛がられ続けたA。
背中をなぞり上げる夏油の大きな手のひらの熱にだんだんと思考が溶かされていく。
ホックを外されたまま、胸の上でゆらゆら揺れる布地が胸の先端を掠めるたび、経験したことのないピリピリとした甘い疼きに頭の奥がじんわり痺れた。
痛みはない、不快とも違う、これは……
頭がふわふわして瞼がとろんと落ちてくる。
『おや、眠たい?』
「……ん」
『いいよ、そのまま眠ろう』
声を発するのも億劫なまま、背中に触れる柔いもの。
ベッドに寝かされたAはもう目を開ける気力もなく夏油がかけてくれた掛ふとんに擦り寄った。
『おやすみ、いい夢をみるんだよ』
眠りに落ちる寸前の夏油の声は酷く優しく聞こえた。
___
__
翌朝、ゆっくりと瞼を開ける。
今日もよく眠れた、と思った瞬間、昨夜の出来事を鮮明に思い出し慌てて身を起こすも部屋にその姿はなかった。
ほっとしたような、残念なような……
ベッドから降りるとテーブルの上に置き手紙。
“鍵借りて閉めてくね。私は任務だから、夜取りに来てくれたら助かる”
Aはスペアキーで鍵を閉めると夏油がいない教室へと駆けていった。
◇
__ピンポーン
23時、自ら押した音にわかりやすく動揺しながらAはドアの前で深呼吸した。
『上がってくだろう?美味しい紅茶を淹れて待ってたんだ』
てっきり鍵だけ受け取ると思っていたから当たり前のように部屋へと招く夏油に内心ビクつきながらぎこちない笑顔を返す。
『………A』
「はいッ」
『そんな遠くにいたら話が出来ないじゃないか、もっとこっちへ来てよ』
遠い位置へ腰を下ろしたAへ、やっぱり何事もなかったように接してくる夏油に戸惑う。
昨日の今日で流石のAも夏油の行動が少し可怪しいとは思い始めていた。
『ふふ、警戒してた?偉いね』
「そういうんじゃ、ないけど」
『……今日はハグ、しないの?』
核心を突かれAの心臓はドクンッと震える。
「あ……えと、今日は、やめとこうかな……」
のしのしと迫ってくる真黒な壁はあっという間にAの目の前まできていた。
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すみっことかげ(プロフ) - ココナッツさん» 表情は、意識しすぎるあまり同じ顔になりながら書いていることに最近気づきました。笑 更新を楽しみにしてくれてる人がいることが励みです♡続編も頑張ります〜! (2022年10月19日 19時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - すみっことかげさん» わわわっお返事頂いてるの気付くの遅れてしまったぁぁ…そして続きをありがとうございます!!夏油さんの表情の変化←すみっことかげ様の言葉遣いが上手すぎていつも惹き込まれてます笑 そうしましょう(うん?) (2022年10月19日 17時) (レス) @page49 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - ココナッツさん» 秒レス失礼します!進行形で書いてます。笑 残された夏油くんは今何を思うのか…。わしらモブも木の陰から見守りやしょうぜ(え) (2022年10月18日 12時) (レス) @page48 id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - さ…最終話……??はぅ…寂しい気持ちがありますけど最後まで夏油さんと夢主ちゃんの行く末を見守らせていただきます…!!!(どこから目線…すみません🙇🏻) (2022年10月18日 12時) (レス) @page48 id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - すみっことかげさん» 夢主ちゃんがぎゅっとされてるところを偶然見かけてしまって、見てるのがバレて夏油くんに(この子は私のだよ)って感じで独占欲?剥き出しにされて、ひぇってなるモブになりたいです(え←) (2022年10月11日 9時) (レス) id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみっことかげ | 作成日時:2022年7月28日 16時