19日目 ページ19
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「夏油くんの時間、無駄にした。だから言い出せなかったの。任務で忙しいのにあんなにっ、考えてくれたのにっ、本当、ごめんなさい……ッ」
『A……』
よしよしと頭を撫でられて。Aの脆くなった涙腺からは、はらはら涙が溢れた。
『きみの真面目な性格は理解しているつもりだけど。“何かあったら必ず教えてほしい“って約束したよね』
「ぇ、約束、(……したかな)」
『そう、約束』
やっと夏油の機嫌が直ったのだ。これ以上不用意なことをいうべきではないとAはこくんと頷く。
『隠すなんて水臭い。わたしたち、友達だろう？』
「私、まだ夏油くんに友達って言ってもらえるのかな」
『当たり前じゃないか』
『っ！……本当、夏油くんは優しいね』
ぐずっと鼻を鳴らして不器用に微笑むA。鼻のてっぺんなんか真っ赤になって夏油はいじらしいな、と思った。
『さっきは怖がらせてすまなかった』
「ううん、ちょっとびっくりしちゃったけど大丈夫」
そんな話をしているところに補助監督から連絡を受けた硝子が入ってきた。
『A大丈夫ー…って、一緒に行ったの七海じゃなかったか？』
「あ、…えと」
『そこでたまたま会ったからかわりに受け取ったんだ』
『ふーん』と訝しげな視線だけ寄越す硝子。治療を受けている間も夏油はどこ吹く風と据え置かれたソファにどっかり座って時間を潰していた。
硝子は『一瞬抜ける』と辺りの書類を纏め始めた。
『あと一時間は点滴あるからじっとしてて』
「うん、ありがと」
『終わる前には戻る。最近変なやつがうろついてるから部屋には鍵してくから安心して寝てな』
「え…?わかった」
『夏油、お前も行くぞ』
『…はいはい、わかってるって』
帰ってしまう前に運んでもらったお礼を言わなくては、と顔を向けたA。
『ああ、そうだA』
立ち上がった夏油は一直線にベッドに向かってくる。
そしてそのまま手をついて耳に唇を寄せて、二人にしか聞こえない声で囁いた。
『今夜、私の部屋においで』
遠くで『夏油さっさとしろー』と声が聞こえた。
『今行くよ』そう言い放ちながら今度こそカーテンから出ていく時、
夏油はくるりと振り返る。
瞳に、微細な色を確かに潜ませて。
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すみっことかげ(プロフ) - ココナッツさん» 表情は、意識しすぎるあまり同じ顔になりながら書いていることに最近気づきました。笑 更新を楽しみにしてくれてる人がいることが励みです♡続編も頑張ります〜！ (2022年10月19日 19時) (
レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - すみっことかげさん» わわわっお返事頂いてるの気付くの遅れてしまったぁぁ…そして続きをありがとうございます!!夏油さんの表情の変化←すみっことかげ様の言葉遣いが上手すぎていつも惹き込まれてます笑 そうしましょう(うん？) (2022年10月19日 17時) (レス) @page49 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - ココナッツさん» 秒レス失礼します！進行形で書いてます。笑 残された夏油くんは今何を思うのか…。わしらモブも木の陰から見守りやしょうぜ(え) (2022年10月18日 12時) (レス) @page48 id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - さ…最終話……??はぅ…寂しい気持ちがありますけど最後まで夏油さんと夢主ちゃんの行く末を見守らせていただきます…!!!(どこから目線…すみません🙇🏻) (2022年10月18日 12時) (レス) @page48 id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - すみっことかげさん» 夢主ちゃんがぎゅっとされてるところを偶然見かけてしまって、見てるのがバレて夏油くんに(この子は私のだよ)って感じで独占欲？剥き出しにされて、ひぇってなるモブになりたいです(え←) (2022年10月11日 9時) (レス) id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみっことかげ
| 作成日時：2022年7月28日 16時
