高校時代の話。 ページ40
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りつの父さんが、死んだ。
交通事故による突然の死で、飲酒運転の車がりつの父さんの運転する車に突っ込んできたらしい。
それを聞いた瞬間、怒りのあまり、どれほど加害者の家族を殴ってやろうかと思ったことか。いくら幼馴染だとはいえ、赤の他人である俺でもそうなのだから、りつたちの思いは計り知れない。
あまりにも突然のことすぎて、お通夜や葬式の最中も、りつとりつの母さんは遺族としての対応に追われていた。俺や姉、両親も手伝いはしたものの、遺族でもない俺たちにできることは限られている。
俺は、悲しみに暮れる暇もなく立ち働くりつを、やるせなさを抱え眺めているだけだった。
＿＿
葬儀が終わり、しんと静まり返った会場。今、自分の父親が眠る棺の前に、りつは立ち尽くしている。
先ほど母ちゃんからりつを裏に呼ぶよう頼まれた俺は、声をかけることもできずに会場の入口で立ちどまり、その背中を見つめていた。
「りつ」
意を決して名前を呼ぶ。ゆっくりと振り向いたりつは、俺を見てそっと微笑んだ。
「裕一郎」
「……俺の母ちゃんが、りつに来いって」
「ん、分かった」
ありがとう、と続けて、りつはゆっくりと動き出す。
気の利いた言葉をかけてやることもできず、ただ事務的に連絡を伝えることしかできなかった俺自身が歯がゆい。昔からの幼馴染という関係がいやに遠く感じる。
静まり返った中に、りつが去っていく足音が響く。
頭よりも、体が勝手に動いていた。
「……」
「ゆう、いちろ」
りつを、後ろから抱きしめていた。
俺の腕の中で小さく驚きの声を上げるりつは、柔らかくて、細くて、小さくて。あまりにも儚げだから、手を離したらどこかに飛んでいってしまうような気がした。
「我慢すんな」
ようやく絞り出した一言。何も言わないりつの頭を、壊れ物を扱うかのようになでる。
「俺ら何年一緒にいると思ってんだ。強がって笑ってんな」
刺々しい言い方しか出来ない自分に心底嫌気が差した。
それでも、りつはすうっと息を飲んだ後、かすれた声でポツリとつぶやいた。
「＿＿おかあさんと、くうとひなが、泣いてたの」
「……ん」
「私、しっかりしなきゃと思って、それで」
りつが、顔を俺の胸に押しつけた。しばらくして、学ランの胸元が濡れていくのを感じる。
俺は、左手でりつの腰を俺の体にさらに引き寄せた。
嫌でも高鳴る鼓動を、愛おしい彼女に聞かれていないことを願いながら。
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。 - 名前変更出来ないので変更出来るようにしてください (6月18日 8時) (
レス) @page1 id: 938fc02c93 (このIDを非表示/違反報告)
水無月のぞみ - 何で名前変えられないんですか？ (2022年1月17日 16時) (レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：焼きぷりん。 | 作成日時：2021年11月27日 10時
