最恐との出会い ページ6
アバルトの言葉に嘘偽りはなかった。
Aは戦闘だけでなく、武器や医薬品の開発なども行い、外交までも参加するようになった。
知識・技術・才能……持ち得る彼の能力を最大限引き出した。
また、Aもそれに応えて功績を残し始めた。
周囲もその能力を認めざるを得なかった。だが、それが逆に彼と周囲との溝を作ろうとしていた。
Aは元々大人しく、自ら誰かと関わろうとはしない。
研究の時にメンバーに声をかけたり、戦争での指示出し程度にしか関わらない。
一人でいることが嫌ではない人間だったAは、自分の知識が物になっていき、自分が操る戦争で勝ち、やりたいことがやれて満足していた。
どこか、虚しさを抱えながら。
そんな彼に一人の男が話しかけた。
それは或る日の廊下での出来事。
「なぁ、新入り」
「……誰や」
鋭い視線が男を貫く。忙しくなりつつあるAは少し苛立ちながらも返事をした。
「俺は……まあ、少佐とでも呼んでくれ」
「そうか。で、少佐。何の用や」
Aはその一瞬の間で何かを察したのか、纏う雰囲気が柔らかくなった。
少佐もそれに気づき、まともに会話ができるという事実に安堵した。
「お前、医薬品とかも作ってるんだろ？」
「あー……まあ、せやな」
「そこで、一つ頼みがあるんだ」
「……頼み」
Aは少し顔を顰めた。
今の前置きから、"何かの薬を作ってほしい"ということは安易に想像できる。
いくら同じ国で軍の人間だとしても利用されるのは気に食わない。
「目を、治してくれないか」
「は……？自分の？」
にしては何も症状は見られない。
「いや、俺じゃなくて違う人だけど……何故か、一ヶ月前くらいから急に目が見えなくなったんだ。軍にいたわけでも、何か特殊なことをしていたわけでもない。ただの一般人なんだ」
「……症状は」
「視力の急激な低下と、日に日に見える範囲が小さくなっていくんだ。視力は、目の前の人が誰か識別できないくらいに悪くなってる」
頭の中で記憶と知識と今得た情報を照らし合わせていく。
かなり曖昧な情報だが幾つかに絞ることはできた。あとは詰めていくだけ。
「その人の性別と年齢」
「男、今年で71になる」
「……あぁ」
カチリ、と一つの答えに辿り着いた。この薬ならばそこまで難しくはない。
それにこの薬にはまだ研究が足りていない。
それに、利己的じゃない。
それが決め手だった。
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雲英(プロフ) - ロクロさん» 勉学は苦手ですが、表現や言葉選びなどを褒めていただけるのは本当に嬉しいです。ありがとうございますXD (2022年1月30日 16時) (
レス) id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - おもしろいです。見させてもらってます。落ち着いた表現や言葉の選び方なので主さんの頭の良さが伺える…これからも頑張ってください、応援しています。 (2022年1月27日 18時) (レス) @page10 id: 65d7101284 (このIDを非表示/違反報告)
雲英(プロフ) - 脅威のセラフ@wrwrdファンさん» 前作からありがとうございます、そう言っていただけて嬉しい限りです:D 遅くなってしまいましたが受験頑張ってください、応援しています。 (2022年1月18日 22時) (レス) id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
雲英(プロフ) - きなこんこんさん» ありがとうございます、そのお気持ちが嬉しいですし励みになります:) (2022年1月18日 21時) (レス) @page7 id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ@wrwrdファン(プロフ) - キャー！妹の方です！ファンです！受験が終わったら馬鹿姉貴にも紹介します！大好きです！ああもう！ホントに大好きです!!!!!前作も勿論読破させていただきました！これからも応援しています！頑張ってください！ (2021年12月12日 16時) (レス) @page5 id: 602d714d2e (このIDを非表示/違反報告)
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