対照的に ページ34
同時刻、我々国。
訓練場には大勢の人間と数人の幹部が訓練を行っていた。
見覚えのある顔はおらず、この場の人間全てが志願兵だとグルッペンは悟った。
全体を見渡し、一人壁に寄りかかって訓練の様子を見ている幹部に近づいた。
「ゾム」
「んぁ？グルッペンか、何の用や」
返事こそのんびりとした声だが、その雰囲気はピリピリとしている。
グルッペンさえ近づくのに少し躊躇するくらいに。
「志願兵の様子はどうだ」
「……無理やな」
ばっさりと切り捨てたゾムにグルッペンは溜息を吐いた。
確かに訓練の様子を見る限り、そこまでの実力はない。
それもそうだ。彼らはつい先日まで何もない一般人だったのだから。
「捨て駒にもできないのか」
「自爆特攻ぐらいはできんちゃうか」
「そうか、考えておくが訓練は引き続き頼むゾ」
「……おん」
ゾムは苦い顔をしながらも遠ざかるグルッペンを見送る。
自分は誰かを育てるという適性がないのに。
俺は俺でやらなあかんことがあるのに。
早く、早くAを迎えにいかなあかんのに。
だが、総統であるグルッペンには逆らえない。
苛立ちながらも、その感情をどこにも吐き捨てることは出来なかった。
「ロボロ」
「……あぁ、グルさんか」
恐らくいるであろう人物の名を呼ぶ。
すると、人工的な光の溢れる真ん中にいる影が返事をした。
グルッペンという存在を認識をしても尚、キーボードを叩く手は止まらず、画面から目を離さない。
「どうだ、終わりそうか」
「半々ってとこやな」
「せめて廊下だけでも乗っ取ることができればいいんだが」
「……乗っ取りは無理やぞ」
「……は」
彼にしては間抜けな声が響く。
ロボロがいつもつけている面は外されており、桃色の目が忙しなく動いている。
「シャットアウトまでが限界やで」
「やっぱり、Aが」
「……やろうな。ガチガチに固められとる、場所によっては一瞬が限界やったりそもそもできん場所もある」
「せめて廊下だけでもシャットアウトしてくれ」
「何とか間に合わせたるから」
まるで、"出て行ってくれ"。そう言われてるかのように会話が途切れた。
集中しているのだろう。先程と同じようなピリピリとした空気にグルッペンは部屋を後にする。
歯車が上手く合わさらないこの感覚は、嫌いだ。
コツコツ、と軍靴の音が響く。
それとは別に。
がらり、がらり、と。
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雲英(プロフ) - ロクロさん» 勉学は苦手ですが、表現や言葉選びなどを褒めていただけるのは本当に嬉しいです。ありがとうございますXD (2022年1月30日 16時) (
レス) id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - おもしろいです。見させてもらってます。落ち着いた表現や言葉の選び方なので主さんの頭の良さが伺える…これからも頑張ってください、応援しています。 (2022年1月27日 18時) (レス) @page10 id: 65d7101284 (このIDを非表示/違反報告)
雲英(プロフ) - 脅威のセラフ@wrwrdファンさん» 前作からありがとうございます、そう言っていただけて嬉しい限りです:D 遅くなってしまいましたが受験頑張ってください、応援しています。 (2022年1月18日 22時) (レス) id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
雲英(プロフ) - きなこんこんさん» ありがとうございます、そのお気持ちが嬉しいですし励みになります:) (2022年1月18日 21時) (レス) @page7 id: 18a835abc9 (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ@wrwrdファン(プロフ) - キャー！妹の方です！ファンです！受験が終わったら馬鹿姉貴にも紹介します！大好きです！ああもう！ホントに大好きです!!!!!前作も勿論読破させていただきました！これからも応援しています！頑張ってください！ (2021年12月12日 16時) (レス) @page5 id: 602d714d2e (このIDを非表示/違反報告)
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