take9. ページ9
最近、というか結構前からだけど。
レトさん、Aのことよく見てるよな。
Aも、本当はレトさんのことが好きだって、気づいていたけど。
俺はそれを見ないふりして、君のそばにいるんだ。
「あ、レト〜！」
「急に呼び出すなや、 A」
「ごめーん、あのね、この間のコラボめっちゃ反響よかったからさー！ またやろうかなって」
ワイワイ話す2人を後目に、俺は自分の部屋に入って編集作業を始めた。
そう、本当は知ってた。けど。
Aの心の穴に横から入り込んで、俺は。
君を縛ろうとしているんだ。
あと半年ぐらいかな、そうすれば。
そんなことを考えていたら、あっという間に作業が終わってしまった。
リビングでは、レトさんとAが2人で動画撮っている。邪魔はしたくないけど、その事実が胸を抉るように痛い。
「俺とは最近撮ってねぇなぁ……」
天井を見上げて呟いた時、ノックの音がした。
「キヨくん……？」
レトさんらしくない、少し弱々しい声だった。
「レトさん？ なに？ 入っていいよ」
少し笑みを含んだ声で、レトさんを部屋に入れた。レトさんは何故か少し気まずそうにしていて、その理由が分からず、少しイラついた。
「あんな、A、リビングで寝ちゃって……、それで、俺もう帰るから、キヨくんにあと任せてもええ、よな？」
Aが撮影の後に寝てしまうのは、実は珍しいことではない。どうやら謎に気を張って疲れてしまうらしい。
そんなところも可愛いから、俺的にはかまわないんだけど。
「あー、そっか。レトさん、ありがとう」
そう言ってレトさんを玄関で見送った。そしてその足でリビングまで向かう。
そこでは、レトさんの言った通り、Aがソファで爆睡していた。
Aの横に座って、そっと髪を撫でた。こんなに幸せなはずなのに、それでも胸は痛い。
そんなことも知らずに、気持ちよさそうに眠るA。
たとえ心が、俺に向いていなかったとしても。
それでも君は。
「綺麗だ……」
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咲希さん(プロフ) - あるふぁさん» コメントありがとうございます！ほんとに嬉しいです……！！ 自分で作っててほんと報われろってなりました。悲しい。もし良ければ他の作品も見てくださいー！ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: b98c56f2f0 (このIDを非表示/違反報告)
あるふぁ(プロフ) - 物語の中に歌詞が自然に埋め込まれているのが凄いと思いました。こんなに感動したのは久しぶりです。本当に面白かったです。 (2021年7月26日 14時) (レス) id: 6bd59ee699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲希さん | 作成日時：2020年11月28日 20時
