last take1. ページ11
暖かい陽射しと、柔らかい南風が、春の報せを届けてくる。
チャペルの外にある桜は満開だった。
スタッフに案内されて、チャペルの中で式の始まりを待つ。
「結婚式なんてあんま来ないから緊張するね」
「キヨが結婚かぁ、あっという間だったな」
そう言う2人の横で、俺はなんとも言えない気持ちになった。
ついにこの日が来てしまった。
泣いていても許されるこの日が、苦しいような、ほっとしているような。
そうこうしているうちに、新郎新婦の入場が始まった。
バージンロードを2人でゆっくりと歩くその間。
俺らは拍手で迎えた。
司会から、開式の合図がでる。
キヨくんの誓いの言葉は、何だからしくなくて笑いそうになった。それはもちろん、他の2人だけでなく、横にいるAもだった。少しだけ肩が震えていた。
それから、指輪の交換。
2人とも緊張しているのか、上手く指輪がハマらずに、顔を見合せて笑っていた。
ほんとに、お似合いやなぁ。
この後は、結婚誓約書にサインをして終了。
なのだが、ここで予想外のことが。
「それでは、この誓約書に証人として、新郎新婦のご友人である香坂玲斗さん、署名をお願いします」
司会から指名されて、思わず立ち上がった。
そんなことはまるで聞いてなくて、2人を見るとニヤニヤしていた。
「絶対許さん……」
小さな声で呟いて、スタッフに誘導されて署名。そして席に戻ると、隣に座っていたガッチさんに、ものすごく小さい声で
「頑張ったね」
と言われた。
最初は意味わからんかったけど、ガッチさんは気づいていたんだなと分かった瞬間、涙が溢れた。
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咲希さん(プロフ) - あるふぁさん» コメントありがとうございます！ほんとに嬉しいです……！！ 自分で作っててほんと報われろってなりました。悲しい。もし良ければ他の作品も見てくださいー！ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: b98c56f2f0 (このIDを非表示/違反報告)
あるふぁ(プロフ) - 物語の中に歌詞が自然に埋め込まれているのが凄いと思いました。こんなに感動したのは久しぶりです。本当に面白かったです。 (2021年7月26日 14時) (レス) id: 6bd59ee699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲希さん | 作成日時：2020年11月28日 20時
