19 無表情の深津が ページ19
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私の名前を呼ぶ聞き覚えのある声。
振り向くと、深津と河田が息を切らしてそこにいた。
「?2人ともなにしてるの?」
「こっちのセリフだべ」
「みんなAがいないって心配してるベシ。早く戻るベシ」
やばい…深津が不機嫌。河田はやれやれと呆れているようだ。
私は焦って立ち上がり、沢北君にジェスチャーでごめんねと手を合わせて2人の元へ向かう。
走り出そうとしたその時、ぐいっと沢北君に腕を掴まれ引き戻された。
「Aさん、俺まだ言ってないことがありました」
「え?」
沢北君はチラッと深津を見てから、私に視線を戻した。
「さっき言ってた高校見学のことなんですけど、よかったら2人きりで会えませんか?」
「えっ!?」
「部活終わるの何時すか?」
「えっ…と…」
ど、どうしよう…てか、何この状況。
どうしたらいいか分からなくて、しどろもどろになっていると深津が横に来た。
なんかもっとよく分からない状況になってない、?
「手、離すベシ」
「深津…」
「ははっ。急いでたわりには来るの遅くないすか?」
さ、沢北くん……!?なに言い返しちゃってんの!?
深津は眉間にピクリと皺を寄せて怒っている。あの、無表情の深津が。
2人がお互いをバチバチと見つめ合っているなか、私は河田に助けを求めた。このままだとなにか起こりそうなんだもん。
「はぁ。おら、深津行くべ。んなガキに構ってる時間ねぇ」
「ガ、ガキぃ!?」
「……確かにそうベシ。Aも行くベシ」
「ベ、ベシ…?」
沢北君が深津の接尾語を不思議がっているところ、私は深津に腕を掴まれた。そして、ズンズンと歩き出す。
2人のペースに必死に合わせるのが大変で、つい、ちょっと待ってと声が出た。
その声に気づいた深津は、私の腕を掴んでいた手をパッと離した。私は咄嗟に申し訳なくなってお辞儀をして謝った。
「ごめんね、探してくれたんだよね。こんな時に本当にごめんなさい」
「……何もなくて良かったベシ」
深津は一言そう言ってスタスタと歩いていった。
「河田ぁ…」
「泣くな泣くな。女子の慰め方なんて分かんねェから」
「泣いてないけど…深津絶対怒ってるよね」
「まぁ…Aが男につれていかれたって聞いてなんか必死だったな」
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なな(プロフ) - 初見です!!!バッシュの話が尊すぎてニヤケ止まらないですありがとうございます、、😭沢北くんあんまりないので供給助かります!!更新楽しみにしてます!!無理せず頑張ってください😭 (3月20日 19時) (レス) id: 3ca32de087 (このIDを非表示/違反報告)
きょんす(プロフ) - シルビア★姉貴さん» ありがとうございます♡スラダン好きなんですね😁このお話も楽しめたなら嬉しいです🙏 (2月24日 23時) (レス) id: c020921dff (このIDを非表示/違反報告)
シルビア★姉貴 - きょんすさん» 🥺🥺分かりました。大丈夫ですよ!!🫡🫡✌️✌️ (2月24日 21時) (レス) id: b720108b83 (このIDを非表示/違反報告)
きょんす(プロフ) - シルビア★姉貴さん» コメントありがとうございます!そして返事が遅くなりすみませんm(_ _)m 合作の件ですがありがたいのですが今の小説でも更新が不定期になってしまっているので難しいです…誘って下さりとても嬉しいです!またの機会によろしくお願いします。 (2月24日 21時) (レス) id: 29e0142093 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア★姉貴 - きょんすさん» 初コメ失礼します。もし良ければ、最初に仙道オチ、次に信長オチで、合作しませんか!? (2月17日 19時) (レス) @page29 id: b720108b83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょんす | 作成日時:2023年2月14日 22時