【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ43)

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43話ページ43

「…なるほど、原因はあいつか」

鬼道がそう呟くと豪炎寺に助け起こされながら水城は頷いた。どうやらいつの間にか至近距離にいた鷹に驚いて悲鳴を上げながら後ずさったものの、後ろについた手はずるっと布団を滑りそのままの勢いでベッドから落ちたらしい。

「いつの間に鷹なんて手懐けたんだ?」

『初対面ですー』

腕を組みながら茶化す鬼道に笑って答える水城。そんな2人を横目に基山が鷹の方を見遣った。

こんな都会にいるのは珍しいな、と鷹を観察する。中には攻撃してくる個体もいるのだがそんな様子もなく、剥製のようにじっとしてそこにいた。まさか何か用でもあるのだろうか、とふと思ったところで、足にある物が括り付けられていることに気付く。

「一青ちゃん、あれ」

『?』

基山が水城の肩をちょいちょいと指でつついてから鷹の足を指差す。するとやっと気付いたかとでも言うようにばさっと翼を広げるので、様子を伺っていた何人かの肩が跳ねた。

『…巻物だ』

「やっぱりそうだよね」

鷹の足に括り付けられていたのは、それこそ時代劇に出てきそうな紺色の巻物だった。その人工物に野生の鷹ではないのだと彼らは理解する。そして水城がベッドから落ちたのを見てその場を離れたものの、タイミングを見計らって戻ってきたことから水城に用があるのはもう間違いなかった。

「近付いて大丈夫なのか」

『多分』

「おい」

水城はよく躾られているであろう鷹に近付き、足からその巻物を慎重に取り外す。すると用は済んだらしく翼を広げて飛び去っていき、すぐにその姿は見えなくなった。

「見ねえの?」

『人とか出てきたら怖くない?』

「それはNARUTOの読みすぎ」

「天の巻物がねえから大丈夫じゃね?」『確かに』「いやまずそれ地の巻物じゃないだろ」巻物を囲んで謎に盛り上がる綱海、水城、風丸の3人。

そんな彼らの会話を聞きながら豪炎寺はなんとなく室内を眺める。自分たちと同じく質素な内装で、違うところと言えばセロハンテープで壁に貼り付けられた“不撓不屈”とすっきりとした字で書かれた半紙と、机の端に置かれている人間の足が生えた魚の置物くらいか。いやなんだあれ。豪炎寺は静かに視線を外した。

「……?」

そして退室していく面々に続こうとしたところで、ふと机の横に設置されたごみ箱が目に入る。そこから溢れる切り刻まれたりぐしゃぐしゃに丸められた紙は、どこかで見たことがあるような気がした。