【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ19)

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19話ページ19

「久遠監督、どういうことですか…!」

言葉の真意を確かめるために鬼道が尋ねるも、言葉どおりだ、とだけ返される。そうではない。言葉の意味は理解していて、そのうえでどういうことだと訊いているのだ。

「俺たちは日本代表に招集されたばかりでチームとして完成していません!この2日間は、チームの連携を高めるために使うべきです…!」

「監督は私だ。命令には従ってもらう!」

その言葉に鬼道は気圧され押し黙ってしまう。そのまま久遠は話を進めていき、彼らはあっという間に合宿所に閉じ込められてしまったのだった。

『簡素だなあ』

割り振られた部屋の感想である。ベッドと机、タンスしかない室内はひどく殺風景で、ここで2日間過ごすのだと思うと少しげんなりしてしまった。まるで囚人になった気分になる。

前の部屋から持ってきた衣類を整理する、雑誌を読む、お菓子を食べる、と人によって暇の潰し方はさまざまで、水城は窓の外を飛ぶ鳥を数えながら久遠の指示の意味を考えていた。

「それぞれに個室を用意した。互いの行き来は勝手だが、合宿所から出ることは許さない」

20羽を超えたところで飽きてしまい大人しくベッドに腰かける。足元にあったサッカーボールを拾い上げ見つめるが、もちろん言葉を発し答えを教えてくれるはずもなかった。

「はああ…練習したい…」

結局、何もできないまま昼食の時間になってしまう。ミートソースパスタを前にしても円堂の表情は晴れず、『そうだねえ』と水城は相槌を打ちながらその正面に座った。

「俺もっス!お腹減らないから食欲ないっス!」

そう言いながら他の誰よりも量の多いパスタをもりもりと食べていく壁山。後ろで配膳をしていた秋が苦笑いをこぼした。

「ごちそうさん」

「飛鷹、もう部屋に戻るのか?」

食べ終わるとしばらく食堂に留まり談笑する人もいる中、誰とも関係の薄い飛鷹は部屋に戻ろうと席を立つ。風丸が話しかけると、どうしようと俺の勝手だ、とつっけんどんに返した。まさかの態度に風丸は困惑する。

「飛鷹、少し話さないか?俺たち、お前のことまだ何も知らないからさ!」

「…キャプテン。ありがたい話ですが、俺は知ってもらうほど大した人間じゃありません」

円堂が食べる手を止め、飛鷹に歩み寄り言うもやんわりと断られる。失礼します、と小さく頭を下げると食堂から出ていった。