【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ12)

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12話ページ12

「もう!起きなさい!!」

雷門中での合宿が始まり初めての朝。食堂で朝食を食べていると開けた窓から円堂を起こしに行った秋の怒鳴り声が聞こえ、水城は汁椀を口に付ける直前で手を止めると天井を見上げた。

『秋ちゃんが怒鳴るの珍しいね』

「大方、円堂が寝惚けて木野を母さんとでも呼んだんじゃないか」

『キャプテンなら有り得る』

ふっと笑みを浮かべ、食事を再開した。余談だが豪炎寺の推測は当たっている。怒鳴り声で飛び起きた円堂はその声の主が秋だったことに驚き、ついでにベッドから落ちた。その衝撃で合宿中だということを思い出した彼は、今頃慌てて支度をしていることだろう。

「いよいよ始まるんですね、世界への挑戦が…!」

「ええ…!」

時間は流れ、いよいよ練習が始まる。日本代表の証である、左胸にイナズママークの付いた青いユニフォーム。それを着た彼らを見て実感が湧いてきた春奈が興奮を抑えきれない様子で秋に言った。それに秋も返事をするが、他と距離を取る不動と飛鷹が目に入り不安げに眉を寄せる。

『なるほど、海外留学かあ。何をするかは聞いてないの?』

「あっそういえば聞いてないなあ。でも、夏未が決めたんなら応援するしかないよな!」

『うん、また会えるといいね』

「ああ!!」

昨日から全く姿が見えない夏未を不思議に思い円堂に尋ねた水城。すると一昨日の夜に日本を発って海外へ留学したと言われ、水城は思わず空を見上げた。水城が知らないのも無理はない。そもそも、夏未も円堂と秋にしか言っていなかったのだから。

「っ円堂さ──ん!!」

「虎丸!」

『夏未ちゃんキャリアウーマンだ』「それはちょっと違わないか?」そう水城と鬼道が会話を交わしていると、肩に掛けた鞄を暴れさせながら全力疾走で虎丸がやってきた。

「虎丸、おはよう!」

「おはっ……おはよう、ございます…!」

円堂の前に到着すると膝に手をつき、途切れ途切れになりながらも挨拶を返す虎丸。曰く信号という信号が全て赤で、そうしているうちに集合時間間近になり急いで走ってきたらしい。

「だからそんなに無理して家から通わなくても、ここに泊まればいいのに」

「ここのご飯、すっごく美味しいんスよ!」

緑川と壁山の勧めに虎丸は曖昧に笑った。そして赤面しながら、自分の部屋でないと眠れないのだと返す。

「大方、ママに子守唄でも歌ってもらってんじゃねえのか?」

その不動の一言で、グラウンドが剣呑な空気に包まれた。