【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス III (ページ32)

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129話ページ32

「で、肝心のサッカー部はどこにいるんだ」

グラウンドに足を踏み入れた、が、誰もおらず漣(さざなみ)の音が虚しく聞こえる。全員が本当に誰もいないのかと辺りを見渡していると突然昼花火が上がった。水城がびくっと反射的に肩を跳ね上げる。

「サプラァアアアアイズッ!!!」

どこから頭にタオルを巻いてその上にサングラス、そしてアロハシャツを着た大柄な男性が出てくる。続いて綱海と同じユニフォームを着た少年少女が飛び出してきて“歓迎!雷門中”と書かれた横断幕を素早く壁に掛けた。雷門イレブンが揃って口をぽかんとさせる。

「驚いた!?驚いた!?ねえ驚いた!?!?」

円堂たちにずいっと詰め寄ってそう尋ねる男性。あの円堂が引き気味である。もしかしなくても、彼らが大海原中のサッカー部なのだろう。そして彼が大海原サッカー部の監督。なるほど、確かに大会を忘れて踊りまくりそうな人だ。どこか冷めた目で見ていた瞳子を視界に捉えると頬を赤らめた。

「おお!監督さんですか!!いやいやいや光栄だなあこんなところで会えるなんて!!あのフットボールフロンティアでの見事な采配!!」

「「「「ん?」」」」

「見てましたよ見てましたよ!まさに監督の鑑!!是非聞かせてほしいですなあ…星空でも見ながら、優勝監督の監督論!」

「…それはどうも。響木監督には、私からちゃんと伝えておきますので」

「響木監督…?……!!俺としたことが、あまりにも似てたんで間違えちゃいましたよ～はっはっはっはっ!!」

「おい一青大丈夫か」

『駄目だ…』

水城の腹筋が死んだ。聞いていてまさかとは思ったが、性別も年代も容姿も全く異なる響木と瞳子を普通に間違えていた。そしてそれを理解していながらも冷静に薄く笑って対処した瞳子。その一連を見ていた水城は今までにないくらい笑いそうになるのを堪えて、両手で顔を覆いめちゃくちゃ肩を震わせていた。鬼道に心配されている。

「貴方たちのチームって、こんな人ばかりなの?」

「おう!皆毎日ノリノリだからな!!」

日傘を差している夏未がキレ気味で綱海に尋ねる。夏未はこういった類のものは苦手なのだ。

「こいつは毎日親父と船に乗っててよ、こいつが乗ってんのは耕運機!こいつは家がノリ山町で、こいつの母ちゃん海苔屋のノリ子!!」

もうノリが付いていればなんでもいいらしい。