【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス III (ページ33)

今日:33 hit、昨日:15 hit、合計:342,371 hit

130話ページ33

「頭痛くなってきたわ…」

『夏未ちゃんしっかり』

「お前もな」

夏未が頭を押さえるのを見て水城が励ますが、水城も水城でまだ肩を震わせ、たまに思い出したように吹き出すので人のことを言えず鬼道が突っ込んだ。

「でも一番ノリがいいのは、あいつだぜ」

そう言って横断幕を掛けた壁の方を指差す綱海。そういえば選手は10人しかいなかった。もう1人はどこにいるのかと思えばそこにいたようだ。

「紹介するぜ。音村楽也!チーム一のノリノリ男!」

「君たちのことは聞いているよ。試合、楽しみにしているから」

水色の髪に眼鏡、ヘッドフォンを装着した彼は腕を組み、音楽を聴いているのだろう、リズムに乗って頭と指を動かしていた。綱海に紹介された音村はそう言ってから去っていく。あまりのキャラの濃さについに日傘を放り出してキャラバンに戻ろうとする夏未を、秋と春奈が慌てて引き止めた。

「フォーメーションはリカと一青のツートップ。立向居にはミッドフィルダーを頼む」

「はい!」

「久しぶりの試合で掴みにくいとは思うが、気負わずにやってくれ」

「はい、頑張ります!」

「よおし皆!気合を入れていくぞ!相手はちょっと変わってるが、戦うときはいつも、真剣勝負だ!!」

「「「「おおおっ!!」」」」

鬼道がフォーメーションの指示を出して、それから立向居を鼓舞する。その後に円陣を組み、そしてフィールドに入っていった。

「ええと俺の場所は…あそこか!」

「こっちもいこうぜ、ノリノリでな!!」フィールドに入っていく大海原メンバーと、それに続く綱海。まだいろいろと勉強中らしく、自分のポジションでさえ曖昧な様子だった。しかしそんな綱海の左腕には黄色のキャプテンマークが巻かれている。ノリで決まったのだろうか。

「皆ぁああ──っがんがんノってけよぉぉおお!!!大海原っ!!!あいや大海原っ!!!!」

ベンチから声援を送る大海原の監督。あの監督は恐らく大海原でしか生きていけない。あのノリに加え部活の大事な大会でさえ踊りまくって忘れてしまうような人だ、雷門に限らず他では間違いなく解雇である。わりと距離があるにも関わらず聞こえる大きな声に夏未はもう一度帰ろうと試みるが、秋と春奈に必死な様子で止められてしまった。