【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス III (ページ45)

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142話ページ45

『そういえば、技名はどうする?』

「技名か…」

「ツインブーストは2人で2倍…つまり3人では3倍…なら、トリニティブーストだ!」

技名が決まり、これからはただ練習あるのみだった。

『貴方が、炎のストライカー?』

「…!」

結局今日は完成ならず。それぞれの課題を上げてメモをしてから今日の特訓は終了した。そしてその日の夜、水城はやはり昨晩の焦げたサッカーボールが気になり、秋に一言伝えてからまた灯台へ向かったのだ。

そこで見たのは、静かに燃え滾る情熱が具現化したような炎を纏(まと)うシュートを何度も打つフードを被った少年。集中していたのか、声を発されるまで水城の存在に気付いておらず驚いた様子でばっと振り返った。

『ええっと、邪魔してごめんなさい。ボールが炎を纏(まと)っていたから、もしかしたらそうかなって』

「…」

『あと、人違いだったら申し訳ないのだけれど、豪炎寺君、ですか?キャプテンが海で特訓していたときも木陰で見ていたから、気になっていたのかなと…』

「…!やっぱり、気付いていたのか」

『わあ喋った』

ずっと黙っていた彼が口を開いたことに水城が少し驚く。そんな水城の反応に小さく笑い、彼は周りに人がいないことを確認すると被っていたフードを脱いだ。

「お前の言うとおり俺は炎のストライカーで、豪炎寺修也だよ」

『!!』

練色の逆立った髪と涼しげな切れ長の目、端正な顔が露になる。まさか正直に正体を教えてくれるとは思わず、水城は声を上げそうになったが慌てて両手で口を押さえた。憧れの存在が目の前にいるのだ、この反応も無理はない。

『…私が訊くのもどうかと思うんだけど…雷門には、戻ってこないの?』

「……今はまだ、駄目なんだ」

『…そっか。うん、待ってるね』

まだ、と言った豪炎寺。その意味を考えた水城は、それ以上は何も訊かなかった。昨晩の焦げたサッカーボールは豪炎寺の物なのか尋ねるとそうだと返ってくる。人が来て相当焦ったと笑っていた。

「…水城、俺がここにいることは…」

『大丈夫、もちろん言わないよ』

そう返した水城に豪炎寺は安心したように息をついた。『約束しようか』と指切り拳万のために小指を差し出してきた水城に、妹を重ねて悲しそうに笑う豪炎寺。全く似てないのにな、と目の前の自分とそう背丈の変わらない美しい少女を見る。月明かりに照らされる白く細い指に、自身のを絡めた。