【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス (ページ30)

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30話ページ30

「影山が脱走し、愛媛に真･帝国学園を設立した…!?」

「「なんだって!?!?」」

車内に小さく響いた着信音。その携帯の持ち主の瞳子は内容を確認すると驚きメールの内容を口に出した。騒然とする車内。特に大きな反応を示したのは円堂と鬼道だった。

「あいつ…まだ性懲りもなくそんなことやってんのかよ!」

「しかも、真･帝国学園だって…?」

染岡と土門が声を上げる。2人とも、影山の悪事は身をもって経験している。フットボールフロンティアでも何かと妨害工作をしてきたのに、エイリア学園の騒動中でもまだしてくるというのか。

「……」

『鬼道君、』

「!なんだ…?」

『手、あんまり握ると傷付いちゃうよ』

水城に顔の前でひらひらと手を振られながら言われ、ぱっと手を開く。そこで初めて自分が強く、固く拳を握っていたことに気付く鬼道。塔子を挟み隣の水城は眉を八の字にして気遣わしげな顔をしていた。

「よし、愛媛に行こう!」

「ああ。影山のやろうとしてること、ぶっ潰そう!」

「そうよ!あいつを許しちゃいけないわ!」

円堂の言葉に賛同する土門と夏未。夏未も間接的とはいえ被害を受けている。特に、父である雷門総一郎が事故に遭わされたのは許していいことではない。

「なあ、影山って中学サッカー協会の副会長だったんだろ?」

「そうだ。そして、帝国学園の総帥だった。俺たちのチームの…」

「そんな人を、何故倒さなきゃいけないんだ?」

周り、特に隣の鬼道の様子を見て塔子が尋ねる。塔子は影山の表の顔しか知らない。雷門は運の悪いことに裏の顔しか知らないが、影山零治という男の表の顔は帝国学園の総帥、つまり最高権力者で、そして中学サッカー協会の副会長。社会的地位は高かったのだ。

「勝つためには手段を選ばない奴だったんだよ…!」

「それも自分の手は汚さず、人を使って相手チームを蹴落そうとする…!」

「きったねえな…!」

風丸の言う「卑怯が服を着て歩いているような男」
は的確な例えであった。