【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス (ページ31)

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31話ページ31

「それだけじゃない…。あいつは勝つために、神のアクアを作り出した…!」

『神のアクア…?』

「人間の体を、根本的に変えてしまうものさ。神の領域まで…」

フットボールフロンティアに出場した雷門メンバーの脳裏には世宇子中が浮かぶ。わざわざ試合を中断させ、一見するとただの水である神のアクアを堂々と口にしていた。そこから繰り出される強烈な必殺技の数々。思い出すだけでも気分が悪くなる。

「結局それが、影山の逮捕に繋がったのよ」

「そいつが脱走したんだ」

「またサッカーを使って、何か企んでいるのか…!」

円堂が掌に拳を打ち付けて言う。彼も祖父円堂大介を影山によって亡くしている、十分な被害者であった。そのせいで母である温子が彼にサッカーを辞めさせようともしていた時期もある。辿ると、最終的には全て影山に原因があるのだ。

「あああああっ!!」

「壁山どうした!!」

「木暮君が酷いんス…。これ、見てくださいよお…」

沈黙の中突然壁山が悲鳴を上げた。何事だと全員が振り返る。鏡を持った壁山が振り向けば落書きだらけの顔。どっと車内が笑いに包まれた。

「居眠りした隙に…って、なんで皆笑うんスかー!?」

「わ、笑ってなんかないよ…!」

円堂が弁解するも笑っているので全く説得力がない落書きした張本人である木暮は前の方まで逃げるも、春奈に叱られ急いで自席へ戻っていった。しかしただでは戻っていない。注意した際に立ち上がった春奈だが、その隙にブーブークッションを仕掛けられたようで、まんまと引っかかってしまったのだ。

「こ…木暮君─────っ!!」

先程の雰囲気から一転騒がしくなる車内。木暮にとってはよく知らない人の話題でつまらなく、周りの表情も暗くなっていたから賑やかにしようと思ったのだろうか。そんなことをしている間にも、イナズマキャラバンは着々と愛媛に近付いていた。