十三日目の起こし方 ページ15
〈芝健side〉
俺は人に頭を触られるのが苦手だった。
この前髪をどけたら、この右目を見られたら何を思われるのかって。
でも、彼女だから、逢恋だから油断してたんだ…。
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逢恋:「フフフッ…」
ん、逢恋が笑っている？それに頭を撫でられている感覚…。この俺が気づかないとは。
目を開けると30cm先に逢恋の顔があった。
起きてすぐに視界に彼女がいるのは嬉しいことだけど……。
逢恋:「あ、健おはよう…。ごめん、健が頭触られるの苦手なの知ってたけど…。ちょっと悪戯心で遊びたくなっちゃって」
芝:「いやぁ、いいんよ？別に嫌じゃなかったし、逢恋になら触られても全然…」
でも、手をどけられても残るこの違和感はなんだろう…？
芝:「ねぇ逢恋、俺の頭になんかついてない？」
逢恋:「い、いや？何も！あ、私朝ご飯の準備しなきゃ」
そう言って逢恋はいそいそと寝室を後にする。
ん〜？なんか怪しいぞ〜？
いつも通り洗顔をしに洗面台に向かう。
顔についた水滴をタオルで拭いて鏡を見た時、逢恋のあの挙動不審の理由がわかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
芝:「はい、この家に俺の髪の一部をメデューサのように三つ編みにした人がいます」
逢恋:「メデューサじゃなくて不動明王がモチーフになってるんだけどな」
いきなり犯人の自白があったが、探偵ごっこを始めた手前、ここでやめるわけにはいかない。
芝:「この家には俺と逢恋しかいない」
逢恋:「私です。」
芝:「そして俺は寝ていた」
逢恋:「ごめんなさい」
芝:「つまり犯人は逢恋だ」
俺が指を指した時には逢恋は頭を下げていた。
逢恋:「だって、今日は落ち着きある起こし方しようと思って、目力で起こそうとしたり、ずっと金曜日のおはよう歌ってたけど起きないから…」
芝:「やばっ、俺そんなに起きなかったの？ごめん…」
逢恋:「いやぁ？その分楽しかったからいいんだけどねー？」
と言ってスマホをヒラヒラさせている逢恋。
その後、アナタシアのグループラインに俺の寝顔がたくさん送られてきたのはさすがに恥ずかしかったけどな…。
練習行ったらみんなにニヤニヤされたし。
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作者名：わさび | 作成日時：2020年10月10日 23時
