愛情依存症候群

症候群21 ページ23

*









今、なんて...



いや真逆。聞き間違いじゃないの。




驚愕の色に目を開いて目の前の人を見つめた。




柔和されることのない険悪な雰囲気が、崩れようとした。








光｢オレだったら、Aちゃんの病気を治せる｣







訳がわからない。



先輩は医者でも無ければ専門家でもない。




医学的用法なんて、ましてや知識なんて皆無だろう。




当たり前だ、医学生じゃないんだから。









｢真逆!だって先輩、医者でもないのに｣








冗談でしょう。






そう言って笑い飛ばそうと顔をあげたのに。









｢...んでそんな、顔してんですか...っ!｣









真剣味を帯びた目にまっすぐ見られ、硬直する。







｢...治療、法は?｣







光｢うん、僕が君に愛をあげる｣





｢...は?｣






光｢依存ってつまり、あげれば治るよ｣









なんだそれは。







なんだそれは。








｢...ふ、ふざけてんのあの医者っ...!｣








あたかも私は死にますよみたいに言ったくせに!




先輩には教えたのかよ!!







99%の尊敬と1%の殺意。




あれだ、尊敬と殺意は紙一重って言うでしょう。









まあ、今はそれよりです。





これってつまりは...








冷静になると、気恥ずかしさが出てくる。







ちらりとセンパイを見ればにこり。








光｢僕と付き合ってください｣







｢初めて告白された日から、気になってた｣





｢今更だけど、付き合ってほしい｣







照れたようにはにかみながら言われれば。









｢はい!センパイを幸せにします!｣




光｢え、そっち?｣






僕が幸せにするんだよ、なんて頭を撫でられながら言われる。







咄嗟に頬をﾊﾞﾁﾝと叩いてみた。





｢...夢じゃ、ないです｣






光｢ちょ...ははっ、現実だよ｣






ふわりと頬を包まれて、心地よい体温に包まれた。







駄目だ、幸せすぎる。





無意識にセンパイの制服の裾をきゅっと握った。





光｢っ!...もう｣






ぎゅううっと圧迫される程抱き締められた。





え、え待って、色気が!!





色々とやばいんですけど!!?








光｢Aちゃん大好き｣







...先輩らしい言い方だなぁ






｢私も大好きです、光琉さん｣









(エデンのアダムとイヴ)

(今ならきっと二人より幸せでしょう)

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