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Episode6: 0%の望みをかけて ページ41

医療の世界に奇跡はない、しかし 奇跡を願わない医者はいない。
少しでも助かる可能性を追求するのなら、腕の良い医者に診てもらうのが最良の道だ。
そして、その外科医の腕は乗り越えた修羅場の数で決まるー



ー 朝 藍沢家 ー

「今日の健診は午後からだったよな?」

出勤のため 荷物を纏めながら耕作が問いかける。


『うん。午後から。順番が来たら、産科の先生から わたしのPHSに連絡をもらえるように頼んでるの。』


今日はお腹の子の定期健診の予定になってる。

オペや外来でスキップしてたから今日こそちゃんと受けないとって話を昨日 耕作にしたばかりだった。

『問題なく育ってると良いんだけど…』

そう言いながら、母子手帳を手に取る。

〈母親になる人 藍沢 A〉という字を見て 自然と笑顔が溢れてしまう。


『…?』


あれ?

この前までは空欄だった所が埋まってる…

〈父親になる人〉の欄は耕作に妊娠を言い出す前には何となく書きづらくって、そのまま空白にしてあった。

そのまま埋めてはいなかったから 空白のままだと思ってたんだけど、そこには〈藍沢 耕作〉と丁寧な字で欄が埋められていた。


パッと耕作を見るけど、本人は素知らぬ顔をして今はコーヒーを飲んでいた。


耕作、いつの間に書いたんだろう?

でも、母子手帳を探して 耕作が自分の名前を書いたんだと思うと 心があったかくなってキュンとした。


「A」


『んー?』


「健診の順番の連絡が来たら、俺にも教えてくれ。」


え?

『一緒に行くの?』


「今日はフライト当番じゃないから、急患が来なければ時間は作れると思う。 なんだ?」


いや、なんだ?って言うか 耕作が健診に付いて来るなんて予想外過ぎて 言葉が出ないんだけど…


『分かった。 順番が来たら 耕作にも連絡するね』


少しずつだけど、ちゃんとパパとママにな準備が出来始めてると 実感した朝だった。



ー 胸部心臓外科 医局 ー

加賀美「バーディーバーの子の血液は集まってんのか?」

カンファレンス前で医局にも 人がちょうど集まり始めた頃に 加賀美が隣に座った。

『あちこちの血液センターに頼んではいるけど、今のところはゼロ。そう簡単には無いよね』


日本に700人いるかどうかの希少な血液だ。簡単に見つからないから、あの子はこの病院まで来る事になったのだから。

加賀美「今は外泊中だって?」

『そう。』

帰院は今日の夕方、外泊中に何もないことを祈るばかりだ。

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設定タグ:コードブルー , 藍沢耕作 , 山下智久   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:water lily | 作成日時:2017年10月14日 23時

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