願い20 ページ23
智樹side
頭が痛い。
身体は熱くて寒い。
あの冬の夜のように、死に包まれているような感覚がする。
それと同時に誰かの声が聞こえる、
コワセ、スベテヲ。
コロセ、テキヲ。
呪詛のように繰り返されるその言葉に、どんどん侵食されている気がした。
だけど、
「兄弟！！」
彼の声だけははっきりと聞こえて。
それに縋るように意識が浮上する。
「……きょう、だ、、、い」
掠れた声で呼びかける。
会いたかった。
だから死ねなかった。
そのはずなのに、なんでこんなにも、
壊したいんだ？
「壊したい。
僕は兄弟たちを壊したいんだ。
でも、そんな事したい訳がないよ。
だから、そんな事をする前に、」
兄弟の手で、僕を折って？
もう、限界なんだ。
やまない声に全てを委ねたくなる。
だから、そうなる前に。
「早く僕を折ってよ！！」
僕が叫んだせいか、沢山の人が集まってくる。
1番前には、和泉守さんがいた。
兄弟がダメなら、彼に頼むしかないかな。
必死で手を伸ばそうとするが、兄弟に止められる。
「……分かった。
兄弟の願いを叶えよう」
とても辛そうに、悲しそうに、
主さんの制止も聞かずに刀を抜く。
「山姥切！！」
和泉守さんが走ってくるけど、多分間に合わないね。
元々重傷だった僕は、たった一撃で簡単に折れた。
「……俺も後から追いかける。
だから、それまで待っていてくれ」
僕の血で紅く染まった刀身を自分に向けて、彼は一気に
引いた。
床に散らばった僕の欠片と、降り注ぐ彼の欠片。
そして、僕の横に倒れた兄弟。
また、僕は彼を守れなかった。
また、彼を壊してしまった。
でも、僕は今までで1番幸せだよ。
だんだん輪郭を無くし、光と共に消えていく。
ああ、まだ消えないで。
もう少しでいいから、笑っていて。
兄弟と一緒なら、迫り来る死も怖くはない。
光に包まれる視界の中で、次も兄弟と一緒に居れたら、だなんて願いながら。
僕は2度目の死を経験した。
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紗月(プロフ) - 時雨さん» いえ、わざわざありがとうございます！ (2016年12月18日 1時) (
レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - …って、もう解決してたみたいですね。なんか、本当にすみませんでした（汗） (2016年12月18日 1時) (レス) id: 9df64bfe3b (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 紗月さん» 黒真さんじゃなくてすみません。山伏の一人称は「拙僧」ですよ！ (2016年12月18日 1時) (レス) id: 9df64bfe3b (このIDを非表示/違反報告)
紗月(プロフ) - すいません！山伏さんの一人称ってなんでしたか？ (2016年10月5日 15時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
黒真 - 山伏さんが昼餉を取りに行ったんですよね？だとしたら一人称が違いますよ (2016年10月5日 15時) (レス) id: 6f04cd4e51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：合歓木 | 作成日時：2016年8月27日 2時
