市野十六 ページ17
金糸雀side
霞みがかった頭を働かせるのは諦め、とりあえず、という事で立ち上がる。
血がついた畳が目に入り、綺麗にしないと畳がダメになる、と反射的に思った。
雑巾で拭けばいいか、とどこかずれた思考回路に従って台所に向かい、目当てのものを水で濡らして固く絞る。
畳を拭いて、両親を起こして、それでどうしようか。
あの本丸をそのままにするのは無責任すぎるから政府の人に会う方法を考えなければいけないか。
アレコレ思考を巡らせながら、ゴシゴシと藺草の隙間をこすり、意味のない作業を繰り返す。
向けられた殺意と痛みと優しさと、
理不尽と悲しみと献身のお陰で涙が出て壊れそうだ。
暇な時は天井のシミか畳の目を数えるといいと言ったのは誰だったか。
そんなどうでもいいことで頭をいっぱいに出来ればいいなと思いつつ、故意に現実から逃れようとすること1時間。
玄関の扉が開く音がした。
今度は誰だろうか、泥棒だろうか？
だとしたら今すぐ逃げたいが未だ寝ているらしい両親のために戦ってみるべきだろうか？
音を立てないように気をつけながら鞄から取り出したスマホで110番しようとすれば圏外で、あっ、これ詰んだわ、と絶望した。
まあこの際霊力ガンガン使って攻撃するか、と早くも泥棒相手に反則技を使うことを心に決めたが、相手がナイフとか持ってたら普通に正当防衛になるわ。
むしろ防御力薄いわ。
ミシ、と床の軋む音がなぜかこっちに向かって近づいてくる。
うわやっべえ俺狙われてる？
折り鶴を持って棚の陰に隠れる。
廊下から差し込む光の道に影が差し、その影の形が人間じゃないことを知った。
「…………(えっ、なにあれ)」
はっきり言って人間より怖いわ。
なに耳の位置おかしくない？頭上にあるんだけど？
しかも4足歩行？動物ですか？動物がドア開けて入ってきた？
嘘だよ、だって足音は二本足の人間だったし、たぶん。
そこまで考えた俺はそれでもなお気づかない。
だったら人間もいるんだろ、ということに。
そして知らないからこそ、俺は軽率に行動する。
少し見るだけ、と顔を出した俺の目は狐と形容するわけにはいかない狐に釘付けになり、襖の向こう側に隠れていた男に見事スタンガンを押し付けられて気絶した。
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灰雪(プロフ) - 壬卯兎さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とうらぶ小説一緒に増やしましょう！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月14日 20時) (
レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
壬卯兎 - 面白いです！なんかもう、書き方から何まで凄く参考になります…これからも頑張ってください！＆私もとうらぶ書いてるので一緒にがんばりましょう！更新楽しみにしています！ (2017年12月14日 8時) (レス) id: 1ea793e7a1 (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 苺パフェさん» ありがとうございます！狭いジャンルなので初めて読むと言われると嬉しいです！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月12日 22時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - 面白かったです！初めて読むタイプの作品でした。大変でしょうが、続きがめっちゃ気になるので、更新、頑張ってください！ (2017年12月12日 21時) (レス) id: 92fa33393a (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 銀色ミカンさん» 応援ありがとうございます！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月12日 19時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
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